808 / 1015
頬付銀の彼女
そう言えばまなに飲み物何がええか聞きそびれたな…
お茶でええか…
そんな事を思いながらボーっとカートの上についとるメニューを眺めてた
……オレもホットドックにしよ…
カートの中におる黄色いエプロンをつけたやたら愛想のええお姉さんにホットドックを二つ頼んだ
「…あれ?頬付?…頬付じゃね?」
「?」
「あっ、ほら頬付だ!!おーい!!」
「すげー偶然じゃん!!」
「……おー…」
カートのお姉さんがホットドックを準備してくれるのを待ってたら突然声が掛けられた
聞いたことのある声でそっちに顔を向けるとやっぱりクラスの奴らやった
男三人で嬉しそうにこっちに寄ってくる
…………まずいな…
「うわ、やっぱ顔良いやつは何着てもかっこよくなるんだな~くそー」
「俺らなんて出会いを求めて遊園地にナンパに来たけどさっきから連敗続きだもんな~」
「頬付もいればすぐだろ、頼むよ頬付~一緒に来てくれよ~」
「あれ?そう言えば頬付はこんなとこで一人でなにしてんだ?」
「バーカ、女と来てるに決まってんだろ」
「おぉ!?例のキスマークの彼女か!?」
「ヒュ~!!」
やっぱりそっちに話は行くやろな…
どないしよ…
アルバイト…は苦しいし…
いっそまなに会わせる?いや…ここは…
「んー、まなと来てん」
「はぁ!?また杉田かよ!!」
「お前ら仲良すぎだろ~…デキてんじゃね?」
あはははっとそいつらが笑う
オレは何も言わんかった
別に嘘は何一つ言うとらんし?
実際まなとデキとるわけやけど…
「お待たせしました~!!ホットドックお二つとお茶ですね~」
ちょうどそこにタイミング悪く店員がホットドックを持って来た
これでココにこれ以上とどまる理由が無くなってしまった…
チラッとまなを確認する
まなもこっちに気づいとるらしく不安げな様子で髪の毛を引っ張って顔を隠しとった
そしてツイてない事にオレがまなに目くばせするところをそいつらのうちの一人に見られてしまっとった
「?…あーっ!!わかった!!あれが頬付の彼女だろ!!」
「えっ!!どれ!?」
「ほらあのベンチの…白いスカートの…」
「えぇ!?マジ!?なんだよ杉田ととか嘘かよ~隠すことないだろ~」
「ははっ…」
別に嘘やないし…
でもそんな事言うわけにもいかず黙った
奴らはまな…もといオレの彼女を一目見たいと息巻いてそっちに近付き始めている
弱ったな…非常にまずい…
「頬付紹介してくれよ!!」
「なんだよお前…狙ってんのかよ?」
「やめとけって頬付の彼女だぞ、お前が奪えるかよ」
「ちげーし、うるせーよ!!」
三人とも笑いながらまなに近づいていく
まなはおろおろしてパッと立ち上がって逃げようとしたが少し遅かった
「あの、すみませーん?頬付の彼女さんですかー?」
「………」
まなは三人に捕まってしまった
ともだちにシェアしよう!