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恥ずかしがりやな彼女

「………」 「あ、あの…?大丈夫ですか…?」 あまりに固まって動かない俺を不振がった男子三人組の内の一人が俺の顔を覗き込もうとしてきた 慌てて顔を逸らす 感じ悪かったかな… 「違うんじゃね?」 「あれ、もしかして人違い?」 「おい頬付…」 後ろでコソコソとそんな声が聞こえてきた お、俺のせいで…変な空気になってる…!! 頭がグルグルしてうまく考えられなくてなんだかくらくらしてきた ど、どど、どうしよう…!! どうしたらいいかわからなくなってギュッと目をつむった するとスッと手が伸びてきた肩を抱かれた そのままその手が滑って俺の手に絡む 「ごめんごめん、彼女、ちょっと恥ずかしがり屋やねん」 「!!」 …銀…!! 銀がグイッと俺の手を引いて背中側に庇ってくれた クラスメイトの男子たちの視界から消えることができてほっとしたきゅっと銀の服の裾を掴むと銀が俺の手を揺らしてぽんぽんと俺の太もも辺りをたたいた 安心する 「な、なんだよ~人違いかと思っちゃったじゃんか~」 「ひやひやさせんなよ~、気まずくなりかけただろ~」 「ごめんごめん」 「彼女さんもごめんね?俺達、頬付のクラスメイトでさ」 銀の体を影からひょこっとそいつがこっちに覗き込んで来て慌てて銀の背中に顔を押し付けた 都合よくそいつは恥ずかしがりやな銀の彼女が恥ずかしがってると思ってくれたらしい 「にしても…やっぱり頬付彼女と来てたんじゃんか~杉田ととか嘘つくなよ~」 「彼女さん知ってる?こいつ杉田って奴とめっちゃ仲良くてさ~あ、あった事あるんだっけ?とにかくそいつとできてるんじゃないかってみんなに言われてんだよ」 「ばーか、ホモじゃあるまいしきめー」 「………」 けたけたとそいつらはわたっている やっぱり…きもちわるい…って思われるん、だな… なんだか気分が落ちてしまって銀の背中に強く顔を押し付けた 銀が力強く手を握り返して答えてくれる 「って言うかさ~せっかくなら彼女さんの顔ちょっとみたいな~なんて…」 「お前下心丸出しじゃんか~」 「うるせーそんなんじゃねーよ、頬付の彼女って気になるだろ~」 「でもたしかに俺も気になる~!!」 「え~、いやや~」 「なんだよ~けちけちすんなよ~」 銀は俺を抱き締めるようなしぐさをする ふざけてる風を装ってるけど俺のために隠そうとしてくれてるんだ… そう思うとなんだか胸のとこがじわっと暖かくなった でもそんな俺の感情とは裏腹にクラスメイト男子三人組は俺の…って言うか銀の彼女の顔が見たいと引かなかった 「なぁ~良いだろ?減るもんじゃないし」 「目の保養にさ!!」 「ん~…」 するとなぜか銀が悩みだした な、何悩んでんだよ…!!悩むなよ…!!ちゃんと断れよ!! どんっと銀の背中を軽くたたくすると銀はこっちを振り向いて俺と目が合うとニヤッと笑った 背中がぞわっとして嫌な予感がした 「ん、ええよ?ちょっとだけな?」 「!?」 「「「おぉ!!」」」 な、何言ってんだよ…!! そう怒りたかったけど声が出せないから銀の背中をたたくことしかできなかった なのに銀はそんな俺の抗議を聞かないで俺の背中をぐいぐい押して自分の前に出そうとする い、いやだ…!!やだ!! 足を突っ張って抵抗したけど慣れない靴で銀の力に勝つことはできず結局そいつらの前に引っ張り出されてしまった 視線が俺に集まるのを感じる

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