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恐怖の館

「『恐怖の館』へようこそ、それでは二人一組となってお進みください」 「えー?二人一組だってよ」 「どうする?」 「やろうと二人なんて誰だってヤダよ、じゃんけんしようぜ」 「ッ!!ッ!!」 結局あのままお化け屋敷の前まで連れてこられてしまった 力いっぱい手を引いて首を振るけどこいつらはわかってくれない くっそ…こんなんじゃナンパ失敗するのもむりない………………いや、俺はしたことすらないけど…… …………………… 10人ナンパすれば20人連れて帰ってきそうなやつの顔が頭に浮かんだ あいつはなにやってんだよ!! むかむかして銀に当たってみるけど銀は来てくれない 「じゃー、じゃんけんなー」 「勝ったやつがまなみちゃんとな」 「てか頬付の彼女だぞ…いいのかよ」 「じゃあお前はじゃんけんすんなよ」 「ヤダよ」 「ほら見ろ」 とうとうそいつらはじゃんけんをはじめてしまった ………… なんかクラスメイトの男に取り合われるって…変な感じだ… ……っていうかそんな事より逃げないと…!! はっと意識を戻すと三人組はじゃんけんに夢中で俺の方は見てなかった 手も放されているから逃げられる 今のうちに… 「よっしゃあ!!じゃあオレがまなみちゃんとな!!」 「くっそー!!こいつととか普段と変わんねえじゃんかよ!!」 「おれだってやだよ!!」 「!!」 嬉しそうな顔をした三人組のうちの一人がこっちに近付いてくる じゃんけんの決着がついたみたいだった 負けた二人はぶーぶーと唇を尖らせながら二人でお化け屋敷の中に入って行く ま…また逃げ損ねた… 「じゃあまなみちゃん、オレと一緒に行こうね」 「ッ!!」 「ほら、怖かったらオレに掴まってくれていいからさ」 「ッ~~~~~!!!!!!!」 さっそく俺の手を握ってぐいぐいとお化け屋敷の中に入って行こうとするやつに首を振って訴えたけどやっぱり怖がってるだけだと思われたみたいでまともに請け合ってくれなかった む…むり…… ちょっともしかすると去年の学祭のとか…今年のお祭りのとかで耐性付いていけるかもとか思ったりしたけどムリ…!! 目の前のお化け屋敷の中はほんの少しだけ入口から差し込んだ光で入口辺りが明るいだけでそれ以上奥は真っ暗で中の様子はうかがえなかった む…むりむりむり…!! そもそも学祭やお祭りレベルのお化け屋敷がダメな時点で遊園地のが大丈夫なんてことあるわけないって…!! 「ほら、まなみちゃん大丈夫だって、オレが守ってあげるからさ!!」 「ッ!!ッ!!」 そんな小学生みたいなセリフを吐いて俺の手を引っ張る同級生に必死に抵抗する 首をぶんぶん振ってお化け屋敷の前に留まっていた その時…… 「「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」 「!!」 「ッ!!」 お化け屋敷の中から悲鳴が聞こえてきた さっき入っていった同級生二人の声だった 「お化けえええええええええええええ!!!!!!!」 「こわいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」 ぎゃあああああっという声に続いて絶叫が断続的に聞こえてくる もう俺自身の恐怖もピークだった 「なんだあいつら、だらしないな…なぁまなみちゃん、そろそろオレらも…って…アレ?」 「ッ~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!」 「ま、まなみちゃん!?」 後ろでクラスメイトに呼ばれた気がしたけど全力で逃げた スカートがばさばさなって靴も走り辛かったけど必死に走った 何がなんでもお化け屋敷は無理だ…

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