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手のかかる
「銀がお兄ちゃんの愛を受け止めてくれてお兄ちゃんうれし…」
「うるさいアホ、毛抜くで」
「ひどい!!」
男が走り去った後オレの肩に頭を乗せてうっとりしたような表情で見上げてくる兄貴を引きはがす
『あぁ~ん♥』と兄貴がわざとらしい声を出した
………早くまなと合流したい…癒されたい…
兄貴の頭から取ったウィッグを兄貴の頭に戻した
こっちのがまだましやろ…
「もう乱暴だなぁ~女の子は大切に扱わないとダメだって…」
「うっさい…」
はぁ…頭いた…
溜息を一つついてからとりあえず兄貴を引っ張って側のベンチまで連れて行って座らせた
ソレに気付いたのは兄貴を自分の傍に引き寄せた時やった
21にもなってほんま手間のかかる…
「?」
「………」
「ッイ!?」
頭に?マークを浮かべる兄貴の左足を掴んでグイッと引っ張った
兄貴は珍しく顔をしかめとる
兄貴のはいとる無駄にかかとの高い靴を脱がせると兄貴の足首は痛々しく真っ赤になって腫れていたそうやった
「………」
「………」
兄貴がこれまた珍しく何も言わずにだまっとる
そんな靴履くからや…
兄貴を男から離してやるときに兄貴の手を少し乱暴に引っ張った
そしたら兄貴はふらついてこっち足に体重を掛けたときに『いた…』っと声を漏らしとった
その後もなんや左足庇うな~思ってん
きっとなれない靴で走ったりしたからどっかでくじいたんやろ
道理で抵抗できへんわけや
「ッ!!」
「………」
そこをちょんっと突くと兄貴は痛そうにした
ええきみや
折れては無いと思うけど
「ほんまアホや」
「…えへっ♥銀に心配されちゃ…」
「阿呆、してへんわ」
「痛い!!ちょっとなんでそこ攻撃するの!!」
兄貴がハッと我に返ったようにアホな事言うからくじいたところを突いてやった
とにかく…
しょうがなくそばの売店で飲み物ようの氷を袋に詰めてもらってそれを足に当ててやった
兄貴がにまにましてるのが腹立つけどしょうがない
もうこんだけしてやればええやろ…
「うごけるようなったら適当に帰れ」
「え~銀がお姫様抱っこで連れて帰ってくれる約束は…」
「次こっちが真面目に話してるのにふざけたら足折る…」
兄貴は21にもなって『お姫様抱っこがいい~』なんて騒いだけどもうそれに関してはガン無視や…
ほんまそろそろまな探したらんと…
スマホを確認するとメールが来とってやっぱりまなはあいつらとおるらしかった
まだブーブ文句を言う兄貴を無視して歩きだす
せっかくのデートなんや…
胸のざわざわはまだ収まってなかった…
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