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止まらない

「……ここでええまな?」 「…うん…」 様子のおかしいまなを見つけたオレは遊園地から出てそばにあるラブホテルに来ていた まなはなぜか遊園地から出るのを渋ったけれど二人きりになれるような場所がなかなかなく仕方なくここにきていた 新しくできた遊園地に合わせてできたものらしく新しくてきれいなとこやった まなはもじもじとスカートを弄って落ち着かない様子やった まなの隣に腰を下ろす 「………で…なにあったん?」 「………」 そう尋ねるとまなはまた瞳を揺らしてなにかを考えていた 「まな?」 「………………あの、ね…」 「…うん」 「…その……」 「うん…」 まなはしどろもどろになりながら口を開いた 「その…さ……怒らないで欲しいんだけど…」 「ん?」 「あ、あいつらと別れた後、にね…トイレに行きたくなって…でも、その…こんなカッコ、だし…多目的トイレの方使ったんだけど…」 「………」 「そしたら、ね…その………知らない、おじさんが、入ってきて…それで…」 「………」 もうその時点で頭に血がのぼっとったけどまなは俺がそうなることがわかってたみたいでおろおろしとったから何も言わんかった まなの話をとりあえず最後まで聞こうと思った 「そのっ…さ、さいごまでされてないよ…!!途中で逃げれて…だ、大丈夫…だから…」 「………」 でもそう言ったまなの手は震えとった 顔色も良くない まなはその後詰まりながらも話を続けた 体を触られて服をまくり上げられたり局部を舐められたりしたらしい でも最後までする前に俺からの電話が来ておっさんがそっちに気を取られた隙に逃げてきたらしい でもまなは最後にこんなことを言った 「へ、平気…だよ……い、や…だったけど…それ以上の事はされてない…し…」 「まな…」 「それに、そんなに…傷ついてない、から…い、いやだった…けど志波の時とか…もっとひどかったし…」 「まな」 「だから…」 「まな!!」 「!!」 まなの肩を掴んで強く名前を呼ぶとまなはびくっと体を震わせて動きを止めた 真っ白な顔で俺を見上げている かたかた震えるまなになんて声を掛けたらいいか良くわからなかった 「……なんでそいつのこと庇おうとしとるん?」 「………」 「…いややったんやろ?」 「………」 まなは黙ったままやった でも目の端に涙が浮かんどる なんで黙るん?もっといろいろ言うたらええやん… あんなことされたのがいややったとか気持ち悪かったとか怖かったとか… なんで我慢しようとするん? 「………まな…こっち来や…」 「!!」 少しまなの手を強引に引いて風呂場に向かった だだっぴろい脱衣所で戸惑うまなの服を脱がせて浴室に押し込む まながだ待っとる理由がオレにはわからなくてイライラして何かが止まらなくなってしまった…

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