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普通のカップルの普通のデート

一生懸命話した 平気なはずなのになぜか震えが止まらなくてつっかえながらしか話せなかった 大丈夫…そんな怖くなかったし…大丈夫… 「へ、平気…だよ……い、や…だったけど…それ以上の事はされてない…し…」 「まな…」 「それに、そんなに…傷ついてない、から…い、いやだった…けど志波の時とか…もっとひどかったし…」 「まな」 「だから…」 「まな!!」 「!!」 心の中でそう繰り返しながら銀に話していたら銀に大きな声で名前を呼ばれてビクッとした 今思えばあれは自分に言い聞かせてたのかもしれない 前のめりになって早口で話す俺の肩を両手でつかんだ銀が少し怒ったような顔でこっちを見ていた 「……なんでそいつのこと庇おうとしとるん?」 「………」 「…いややったんやろ?」 「………」 銀にそう尋ねられた 嫌だったよ…気持ち悪かったし…怖かったよ… そう思ったもののなぜか返事することができなかった だって…せっかく楽しく『普通の』デートしてたのに… いつも…銀と一緒だと意識しちゃって恥ずかしくなるからあまり外に遊びに行くことないし…それに外に行っても周りの目が気になっちゃって普通のカップルみたいにできなくて…だからデートっぽくないし、ちょっと普通の男女のカップルが羨ましいなってなって思ってた… でも今日は俺女の子の格好だし…皆俺の事女だって思ってくれるからなんだか普通のカップルの普通のデートみたいで嬉しくて…楽しくて… だからまだ銀とちょっとしかデートできてないのにこんなことで帰りたくなかった… 嫌だったし、気持ち悪かったし、怖かったけど…我慢したらいいと思った… 銀は怖い顔のまま俺を見下ろしてた なんだか悲しくなってじわっと涙が滲んできた 銀に内緒にしようかと思ったけどうまくいかないし…だから今度は大丈夫だよって伝えようと思ったけどそれもうまくいかないし… 目の端に涙が溜まってく 何も言えなくて黙っていると銀が先に口を開いた 「………まな…こっち来や…」 「!!」 怒った怖い声だった

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