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いつもとちがうこと

足をケガしちゃって歩けなくて困っていた金さんを遊園地のゲートまで送った後、猛はなんだかおでこのところにしわをいっぱい寄せて疲れたような顔をしてた ちょっと怖い顔になっている こんな顔ばっかりしてるとおでこのしわがずっとそのままになっちゃうってなんかで言ってた… ………よくない… 「たけるぅ…顔怖くなってるよ~」 「……ウス…すんません…」 「も~」 背伸びして猛のおでこのしわを指でぐりぐりと伸ばす 猛のおでこのしわは少しだけ収まったみたいだった 疲れちゃったのかな?金さんおんぶしてあげたもんね… どちらからともなく後ろを向いて遊園地の園内に戻るように歩きはじめる 「猛休憩する?疲れちゃったの?」 「……いや、別に大丈夫です…」 猛は歩きながら何か少し考えているみたいだった そんなときぼーっとしたままの猛の手がおれの手を握った なのにそれに気づいた猛がハッとしてなぜか慌てて離す 「……?…」 「あ、いや…あの、すいません…」 「?」 「………そ…その人多いな…って思ったら、普段の…理沙とかにするのの癖で…手、繋いじゃって…すいません……」 猛は少し顔を赤くしながらおれに謝って少しだけ距離を置いた ……いつも手ぐらい繋ぐし…今日は女の子の格好してるから周りにも変に思われないし…そんな謝らなくてもいいのに?… なんだか猛がよそよそしくて少しムッとした 「………」 「………」 「…手、つながないの…?」 「………いいんスか…」 「だめっていうと思う?」 「……思わないッス…」 そう言うと猛は再度おれの手に自分の手を絡めてきた ちゃんと恋人繋ぎにしている なんだか照れてる猛が新鮮な気がして珍しく思えた これも女の子の格好でするデートだから…なのかな…? そう思うと何だかいつもと違うのが楽しくてわくわくした 「ふふー、楽しいね?」 「……そうッスね…」 耳がほんのり赤い猛と並んで、手を繋いで歩いた

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