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ジンクス

いつもよりもなんだかちょっぴり照れ屋でいつもよりもっと心配しいな猛と手を繋いで遊園地を巡った いつも猛は優しいけど今日はもっともっと優しいって言うか……なんだかそわそわと落ち着きない感じで、そんな猛が面白くてかわいくてついつい甘えてしまった… ちょっと疲れたぐらいだったのに足が痛いって言っておんぶしてもらったり、買うつもりがないのに女の子モノのアクセサリーが売ってるお店で猛にネックレスをかけてもらったりした 猛は嫌がったりなんかしなくてちょっと照れながらも優しくしてくれた なんだかおれもむずがゆい気分になったけど全然嫌じゃなくてむしろ楽しかった そしてだんだんと時間が経ってだんだんと周りが暗くなってきた ここの遊園地いつも週末になると大きなパレードがやってて電気がきらきらしててすごくきれいだってぱぱから聞いたんだ!! だから絶対猛と見ようと思ってたの!! ………思ってたん…だけど… 「………」 「………」 「………」 「……あのー…先輩?」 「………」 「しょうがないですよ…その…やっぱり週末なわけですし…」 「………」 むうっと頬をふくらます 目の前にはびっしりと人の垣根ができていた 一人や二人なんてレベルじゃなく人垣が何層にも重なっている …前見えない…… 「ほら、先輩せっかくですし…その…皆こっちに来てるからアトラクションとかのりましょ?きっと空いてますし…」 「……やだ…これみる…」 「そうはいっても…これじゃ…」 「見たいの!!」 思わず大きい声が出た 人が多いのはわかっていたつもりだったけどこれほどたくさんの人がこれを見に来ると思っていなかった… 人垣に阻まれてパレードがある道路もみることができない… わがままよくないってわかってるのになんだかむすーっとしてしまう 見たかったんだもん… ぱぱが言ってくれたことを思いだした 『ここのパレードを一緒に見たカップルはずっと一緒にいられるってジンクスがあるんですよ~そうテレビで言ってました!!』 そう…このパレードには人を呼び込むための作られたものだろうけれどそういうジンクスがあった ………だから猛と絶対見ようって思ってたんだもん… 目の前の人の背中にむうっと膨れて見せたりする でも目の前の人はそんなおれの視線には気づくわけもなく少し身じろぎ背伸びしてパレードを待つだけだった

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