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パレード

先輩がかわいらしいのはいつもの事だし、言うと先輩がムッとするから言わないけど先輩が中性的なのだってわかっていたし、おれもかねてからそう思っていた でもやっぱり中性的なのといざホントに女の格好をするのは違うわけで…女の格好をした先輩にドギマギしていつも以上に慎重になっていた気がする… 手を繋ぐのもビビッて先輩にムッとされる始末だし… なんだか女装した先輩を見ると去年の文化祭を思い出して妙に照れくさい気分といろいろな後悔を思い出してしまうのが原因だと思う… でも文化祭の時の先輩はお祭り仕様の少し派手な感じの…いわゆるチャラい感じの着飾った先輩で、今回のはなんだか先輩らしい?女装だった どっちも好きだけどオレはこっちの方が好きだな… なんて思ったりした そして…… 「………」 「………」 「………」 「……あのー…先輩?」 「………」 「しょうがないですよ…その…やっぱり週末なわけですし…」 「………」 今その先輩は盛大に拗ねていた 小柄な先輩の目の前には何人もの人が立ち、先輩からは何も見えないんだろう かくいうオレからも人が何層にもなっているせいで良く見ることはできない どうやら先輩はこれからこの人垣の向こうの道を通るパレードが見たかったらしく、どこに行ってもこんな感じで人に阻まれて見ることができなくてむくれてしまった となりでむすーっと頬を膨らませる先輩に声を掛ける 無意識のうちにいっつも先輩が嫌がる子ども扱いするような口調になってしまった 「ほら、先輩せっかくですし…その…皆こっちに来てるからアトラクションとかのりましょ?きっと空いてますし…」 「……やだ…これみる…」 「そうはいっても…これじゃ…」 「見たいの!!」 先輩はやだやだ~と首を振る よっぽど見たかったんだな… もちろんできれば先輩の希望を叶えてあげたいんだけど… 困ってしまって辺りをきょろきょろと見回した オレとしては誰か運よく人垣から離れてくれる人がいないかと思ったんだけどそれよりもっと良い物を見つけてしまった あれならきっと… 「先輩、行きましょう」 「え…おれこれが見た…」 「見せてあげますから、もっといいとこから」 「?」 いぶかしげな顔をオレに向ける先輩の手を引いて人の間を縫って進む 先輩はまだむすっとした顔をしてはいたけれどおとなしくついてきてくれた 人が進む方向とは逆向きに進む 急がないと始まってしまう… 少し足早に歩いてやっと遊園地の一番端にあるソコに到着した

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