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二年と三年

結局パレードは近くで見れなくてちゅーもし損ねてしまった… でもパレードを見るよりちゅーするより心はぽかぽかしてた 出口へ向かう人の流れに沿って猛と手を繋いで出口へ向かう もう閉園の時間だった 「……楽しかったね?」 「…ですね……思ってたよりずっと楽しかったッス…」 「特に最後の…恥ずかしかったけどおかしかったね?」 「…あれは…オレ的にはひたすら恥ずかしいです…」 「え~?」 猛が口元を手で覆ってかぁっと顔を赤くする 今日は猛良く笑うし良く照れるし…よかったなぁ… おれだけが楽しみで猛はおれが来るからついてきてくれるだけなのかと思ってた… 「…ふふふっ」 「?なんスか?」 「ふふー、べーつにぃー?」 「?」 思わず笑みがこぼれると猛に不思議そうな顔をされてしまった 猛も楽しそうだったから嬉しかったなんてナイショだもーん… 「……またきたいッスね…」 「来ようよ?」 「先輩受験生じゃないですか」 「でも来れるもん、来るもん」 「ダメです、とりあえず受験終わるまでは…」 猛がそんな事言うなんて少し意外だったけれどそれだけ今日たのしく過ごしてくれたっていう証拠だ またきたいなぁ… 隣の猛を見上げると目があった ……受験………猛は二年生…おれは三年生… ふっと猛から目を逸らす いくらオレが楽観的でも考えないわけなかった 離れ離れになっちゃうんだ… 少し前に志波君とばいばいした若葉ちゃんを思い出して胸が痛んだ 志波君と若葉ちゃんみたいに遠くに行っちゃうわけじゃない おれは家から通える大学に行くつもりだし会おうと思ったらすぐだ でも… 楽しい気分だったのがしゅんっと萎んでしまった 今まで見たいにはできなくなっちゃうんだ…一緒にお昼食べたり、毎日のように猛のおうちに行ったり… それにおれがもし落ちちゃってもっと遠くの大学に行かないといけなくなったら… その時頭を猛の大きな手がぽんぽんっと撫でておれの思ってることがわかるみたいに言った 「大丈夫ですよ…そりゃ今まで通りにとはいかないかもしれないですけど…会いに行きますし来てください」 「……」 「ここだってまた来ましょう?約束です」 「!!」 猛はおれに向かって小指を出してくれた その小指に自分の小指を絡める 嬉しくてぶんぶんと何度も降った 「約束だからね!!」 「うす、頑張ってバイト代貯めときます…」 「へへっ…」 さっきまでのシュンとした気持ちはどこかへ行ってしまっていた 猛がふふっと笑って優しそうに俺の頬を撫でてくれる 好きだなぁ… 「猛大好き」 「…俺もです」

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