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ずっと一緒
「はぁ?なにぃ?なんなん?で結局そのまま帰って来たん?オレがせっかくラブホテルの割引券あげたのに?猛くんもしかしてインp…」
「違います、死んでください」
次の月曜日
いつもの調子でだらしのない頬付先輩にため息をつかれながらそんな事を言われた
結局あの後オレは紺庄先輩とバスに乗って先輩を家まで送りオレも家に帰った
頬付先輩から貰ったそれの事が頭をよぎらなかったわけではない
オレの親も、紺庄先輩の親もなんなら泊まってきてもいいって言ってたし、正直そう言うことがしたくないわけでもなかった
というか結構したかった…
でもいざあの時遊園地を出てしまうとそんな事どうでも良いことのように感じられたし、なんだかその提案をいまするのは下世話な気がして言わなかった
なんてことを話すと頬付先輩にからかわれるのは目に見えてるから黙っとく
でも何も言ってないのに頬付先輩はハッとオレを鼻で笑った
「どーせあれやろ、そう言うムードやなかったとか、そんなことしなくても満足に思えたとか理由付けて誘う根性がなかっただけやろ?これだからインポは…」
「全国のインポに謝ってください、あと俺はインポじゃないです」
「オレとまななんてすごかったで?なぁ…まな?」
「うるさいこっちに話振るな」
「それこそまな最後はインポみたいにふにゃふにゃに勃たなくなって呂律もまわらなくなりながら…」
「銀!!」
「いった!!」
学さんが投げたペットボトルが頬付先輩の胸のあたりにばしっと命中する
学さんは顔が真っ赤になっていた
まぁ…わかってたけど先輩たちは行ったんだな…
聞きたくもない情事の内容を事細かに説明しようとする頬付先輩と、顔を真っ赤にしてそれを止める学さんをぼんやりと見つめていたら、学さんをうまいことやり込めた頬付先輩が思い出したようににやにやと口を開いた
「でも…残念やなぁ…猛が黒が好きなんて大胆な事言うからそう言うコトすると思ってちゃんと健斗に『アレ』渡したのに…」
「?アレ?」
「なぁ?健斗?」
「?」
弁当をもぐもぐと頬張っていた紺庄先輩がくるっとこっちを向いてごっくんと口に入っていた食べ物を飲み込んだ
かわいらしく首をかしげている
かわいいけど…一気に飲み込むの危ないからやめてほしい…
「なぁ健斗、デートの時オレ洋服と一緒に『アレ』もあげたもんなぁ?」
「……?…!!あぁ!!あれ!!貰ったよ!!」
「ちゃんと着てったん?」
「着たよ!!」
「あ~あ、猛くんかわいそ、ほんま不憫、ツイとらんわぁ…インポやわぁ…」
頬付先輩は大げさに首を振ってそしてニヤニヤと嬉しそうな顔で俺を見つめてきた
「ムッツリな猛くんは喜んでくれると思ったんだけどなぁ…えっろい黒のブラとパンティー」
「………」
ここまで言われるとすでに何の事だか何となくわかっていた
が…相変わらず下世話だ…
はぁっと溜息が漏れた
「猛見れなくて残念やろ?なぁ健斗、猛ホントは健斗のえっちい下着姿見たかったらしいで?」
「ッ!?」
「え~?」
頬付先輩は満足そうにそう言うと、スマホを弄って画像を探し始めた
「しゃあないから色違い着たまなの写真を……」
「ぎ!!ん!!」
「っわ!!まな危ない!!顔はあかん!!」
「消せ!!今すぐ消せ!!」
結局まぁ頬付先輩も見せる気があったわけではないんだろうけどその画像は見ずに済んだ
それにしても……黒の……下着……
一瞬布の少ない黒の下着を着て体をすり寄せてくる先輩を想像してしまって顔が熱くなった
慌ててぶんぶんと首を振る
……………オレ………ムッツリなのかもしれない……
そんな風に思ってたらオレの少し後ろにいた紺庄先輩がキュッとオレの手を握ってちょいちょいと手招きをしてオレの耳元に口を寄せてこんなことを言った
「………猛になら…今度みせてあげてもいいよ……」
「えっ…」
「………こっそり…だよ…?」
先輩は頬を赤らめてそう言うとすぐにお弁当に向き直ってしまった
……………
自分の頬が柄にもなく熱くなるのを感じる
あー…くそ……
頬付先輩じゃないけど…やっぱりみたかったかも……
その場で自分の顔を押さえて顔を伏せる
なんだかすごくだらしない顔をしてそうな気がした
「銀!!消せって言ってるだろ!!」
「いや~、やってまなかわええんやもん♥」
「今すぐ消せ!!」
すぐそばでは学さんが頬付先輩にデータを消させようと躍起になっている
相変わらず仲が良さそう?だ…
また来たいと先輩と遊園地で話したのを思い出した
次行けるのはいつになるんだろう…
ふとそんな事を考えて自分だけ二年なことを寂しいと感じたりした
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