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変
「……風邪…ですか…?」
「せやねん、一昨日お風呂上りに髪乾かさんとすっぽんぽんで寝たりするから…」
「………」
昼休み、どうせ行く場所があるわけでもないのでいつも通りの場所で健斗たちと昼飯を食っとった
猛は呆れたような顔をオレへむけとる
「でも学さんが休むの、珍しいですね?」
「せやなぁ…」
「…?」
猛はきっとオレが『かかわらずに』ってことを言うとるんやと思う
その意味が汲めない健斗は首を傾げとった
そして健斗が思い出したように口を開く
「学、風邪なんだよね?」
「…?せやで?」
「……ふーん?」
健斗は珍しく難しそうな顔をして首を捻っとった
なにか考えてるみたいだった
「…学さん、一人暮らしっていうか親御さん家にいらっしゃらないんですよね…?大丈夫ですかね…?」
健斗の考え事には時間がかかりそうだと判断した猛が話を続ける
確かに…っちゅうかもちろんお見舞いに行くつもりや
「今日お見舞い行ってくるで?一人じゃいろいろ不便やろし」
「ねえ、銀?」
オレがそういったところで健斗が口をはさんだ
長考が終わったらしい
なんだかちょっと困った?ような顔をしてる
「今日学のとこいくの?」
「ん、放課後行ってくるで?」
「……ふーん………」
「?どしたん?健斗も来る?」
「……いや…やめといたら…?」
健斗は困った顔のままそう言った
やめとく?お見舞いを?なんで?
「なんで?」
「……うーん…その、さ?学、変だよ?多分…」
「変?」
「うん」
「…?」
健斗の言うとることがよく分からんかった
まなのどこが変なんやろうか?
「あのね…なんか…変なの…」
「…?」
「風邪ひくと学変なの…」
健斗に尋ね返してみても健斗はそれ以上説明できないらしく『変』だと繰り返していた
なんなんやろか?あまり風邪にかからないから風邪になると重いとか?おるよな、そういうやつ…
でも別にそれなら余計に行ってやらんとあかん
「とにかくオレはいくで?」
「………そう……?」
健斗は困った顔のままだったが少しほっとしてるようにもみえた
よく分からん…
でもオレは放課後、健斗の言っていたことと態度の意味をはっきり理解することになる
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