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見舞われる
「……は、は…ハックション!!」
ぶしっと盛大に唾が飛んで鼻水がたれた
近くにあったティッシュで鼻をかむ
あー…頭痛い…体重い…
俺は今ちょうど風邪をひいていた
頭も喉も痛く、鼻はつまり、咳とくしゃみは続き、体は熱くて重い
それもこれも一昨日風呂上りにちゃんと体を拭かずに寝たのが原因だ…
くそう…
「はっくしょん!!」
またくしゃみが出た
朝から体が辛くて一向に良くならないからロクな物も食べてないしまだ病院にも行けてなかった
体が疲れているせいか睡魔がやってきて眠りを誘う
すこしボーっとするとすぐうとうとしてしまってだめだった
でも多分今眠ると…
そんな風に思いながらぷるぷると首を振って眠気を散らしているとき、急に枕元に置いてあったスマホが鳴った
……誰だよ…こんな時に…
枕元のスマホまで手を伸ばすのもしんどくて無視しようかと思ったけど鳴り止みそうになかったので電話に出る。
聞こえてきたのは良く知った声だった
「……は、い…」
『まな?オレやけど…大丈夫?』
「……ぎん…」
電話の声の主は銀だった
心配してかけてくれたらしい
少しだけ胸の辺りが暖かくなった
……銀だ…
『辛そうやなぁ~暖かくして寝ときや?』
「……うん…」
銀は電話越しに優しく声をかけてくれた
なんだかドギマギする
でも問題はこの先だった…
『今もまなのとこのオカンおらんのんやろ?もうちょっとしたら行ったるから待っとき』
「…えっ!?ぎ、ん…くるの…?」
『行くで?お見舞い』
「こ、来ないで!!」
急に銀はおれのお見舞いに来ると言い出したのだ
お見舞い!?お見舞いはまずい…だって…アレが…
銀にあわてて抗議したけど聞く耳を持たなかった
『何言うてん?あ、せやせや、なんか欲しい物ある?あったら買ってったるわ』
「い、いいって言ってるだろ!!来なくていい!!」
『んなこと言うたって…まな一人じゃいろいろ不便やろ?』
「ホントに来なくていい!!来ないで!!」
『いやや、オレがまなに会いたい』
銀が突然そんな事を言うもんだからかっと顔が熱くなる
熱が上がった気がした
「……ッ!!………い、い、れないからな!!家来ても絶対…ハックション!!」
『ほらまな興奮すると熱上がるでほなあとでな?』
「来るなよ!!絶対入れないからな!!おい聞いて……」
そこで銀に電話を切られてしまった
なんなんだ…アイツ…
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