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病人VS銀

「はい、まな横になってな?熱は?まだたかそうやな?辛い?」 「え、あ…う…な、なんで来たんだよ!!」 「まなが心配やからにきまっとるやろ~…まなご飯食べたん?食べとらんやろ?ゼリー買ってきたからもうちょっと元気になったら食べよな?」 「か、帰れ!!」 「はいはい、看病したら帰りますぅ~」 「いま!!」 俺を無理やり横にならせて布団を掛けようとする銀を手で押しのけて抵抗する さっきから騒ぎすぎて熱が上がってる気がするけど今はそんなの気にしてる場合じゃない 銀に帰ってもらうことの方が先決だった 銀は唇を尖らせて困った顔をしている 「まな、今さらまなのむくんだ顔や、寝癖や、パジャマ見ても別に普段もっと恥ずかしいとこ見とるんやし大したことないで?」 「そう言うことじゃない!!」 かぁっと顔が熱くなる 見られたくないと思ってることがばれていて恥ずかしかったけどそんなことよりも…アレが… また俺をベットに横にならせようとぐいぐい肩を押してくる銀を必死に押し返す 頭がボーっとしてきた 「ホントに大丈夫だから!!銀は帰ってくれていい……あ…」 「あ」 銀を押し返しながら声を張り上げようとしたらふらぁっと視界が揺れてめまいがした 手に力が入らなくなってそのまま銀の力に負けてベットに寝かされてしまう やばい…騒ぎ過ぎた… ぜえぜえと肩で息を吐く 頭がガンガンと痛んでぐわんぐわんめまいがした 体がだるくて再度起き上がる気にもなれない 銀がふぅっと溜息をついたのが見えた 「ほら、どこが大丈夫やねん…とにかく、オレちゃんと看病するまで帰らんから」 「………」 「とにかくまな休んどき、今体温計持って来たるから熱測ってスポドリ買ってきたからそれ飲んだら寝や」 ぽんっと俺のおでこに軽く触れた銀が『熱いな』って感想を残して一度部屋から出て行く 今の俺では銀を追い返すのは無理そうだった 銀は意地でもここにいるつもりだ こうなったら銀が満足するまで看病されてさっさと帰ってもらおう 寝たふりでもなんでもして銀を満足させてればいい ごろんと横になったまま天井をながめる 頭はまだ痛かったけどめまいは楽になって来たような気がした 「………」 看病されるのなんていつぶりかな…… 母さんが父さんについて行くようになってからは久しくなかったように思う… 一人で病院行って、薬飲んで、寝て、治して… もう慣れてしまってた事だけどそれが寂しくなかったというと嘘になる だから銀が来てくれた時ほんの少しだけ嬉しかった… かぁっと頬が熱くなって布団にもぐりこむ 本人には絶対に言ってやんない… うと…っと急に眠気がやってくる …あ…いま…寝ちゃだめ…なのに… そうは思ったけど強烈な眠気にあらがえない 銀がきて安心したこともあってか、やっぱり疲れていたのか俺は眠ってしまった

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