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完治
「ッン…んん……」
次の日
意識がゆっくり浮上した時には昨日まで重たかった体のだるさも消え頭の痛みもなくなっていた
唯一痛いのは腰ぐらい…
でもそんな事に気付くのはもう少し後でその時は暖かいなぁ~とか気持ちいいなぁ~なんてのんきな事を考えていた
慣れ親しんだ匂いがそばにあって安心してあったかい
「んんぅ…んん…」
んーっと伸びついでにその親しんだ匂いにしがみ付き鼻を押し付ける
気持ち良くて心地よくて安心して…また眠っちゃいそう…
「…まな?起きとるん?」
「!!」
「あ、起きとる、おはよお…」
「…あ…おは、よ…」
慌てて無理やり意識を覚醒させて目を開けると少し首を傾けた位置に大きく欠伸する銀の顔が見えた
それからちょっとして自分はその銀にしがみ付き銀の胸辺りに顔を押し付けていたんだと言うことがわかって恥ずかしくなった
銀がじーっと無駄に大量のまつ毛に覆われた無駄に大きい目でオレを見つめる
「あぁ、その感じやと熱下がったみたいやな、よかったわぁ…」
「あ…う、うん…」
「ん、熱くないし…体辛くない?まぁ一応熱測っとこな?」
「うん…」
銀が俺の額に手を当てテキパキと熱を測って水を飲ませてくれる
なんだか寝起きの頭が上手くついていかなかった
銀は俺を看病しに来てくれて…で…
………
思い出せない…
「なぁ銀…昨日俺って……その、なんかあったか…?」
「ん?………あぁ…」
銀はそう言うと意味深ににやっと笑った
ゾワッと背中に寒気がして鳥肌がたつ、冷や汗が止らない
な、なんか…もしかして…
銀はふっと笑うと口を開いた
「別に?なんも?」
「嘘だ!!なんだよ!!何あったんだよ!!」
「せやからなんもあらへんって~、なに?それともなんか思い当たることがあるん?」
「へっ!?え、っや…べ、べつに…」
そんな風に聞かれたらそう答えるしかない
どうしよう…昨日…銀が家に来るって電話聞いた辺りから記憶があいまいで…
銀をきっと睨み付けると銀はふふんっと鼻を鳴らして余裕そうな笑みを浮かべた
何も読み取れなくて余計焦る
「何もないって、熱で辛そうにはしとったけどな?」
「…ほ、ほんとにそれだけ…?ほかに…ほら…その、たとえば変な事言った……トカ…」
「変な事?……あぁ、そう言えば言うとったな…」
「!?な、なんて!?」
「『銀愛してるヨ♥』って…」
「ッ!!」
「いたぁ!!」
かっと顔が熱くなって思いっきり銀に枕を投げつけた
嘘だ!!でもなんか言ったんだ…!!
銀をべしべしと枕で叩きながらなんだかわけがわからなくなってきてじわっと涙が滲む
何言ったんだろう…変な事かな…もしかして銀にまたべったり…あぁぁぁぁぁ…
後悔してもしきれない…
なんでこいつは家の中に入ってるんだよ…!!入れたのか!?俺が!?
「まな痛いって、ほんとに何もしてへんから…」
「……う、うぅ…」
「ほら、せっかく下がったのにまた熱上がるで」
銀に手首を抑えられ簡単に枕を奪われて悔しい気持ちになる
ううぅ…っと唸ってると銀がはいはいと俺を抱きすくめて背中をぽんぽんと叩いてきた
…なんか子供扱いされてる……
そうは思ったものの銀にそうされると悔しい気持ちはだんだんに消えて行った
……まぁ…看病してくれておかげで治ったわけだしいいか…
そう思って銀の肩に顎を乗せたその時…
「まな、めちゃめちゃ甘えんぼさんでかわいかったで?」
「ッ!!」
耳元でこそっと銀がそう言った
や、やっぱり…!!
「ッ~~~!!!ッ~~~~~~~~!!!!!!!」
ぼんっと銀の胸を押して離れようとする
でも銀に器用に抱きすくめられてしまってるせいで逃げることができなかった
「離せ!!離せばかぁ!!」
「いたた、まな髪はあか…いたたたたた!!!抜ける!!」
結局その後銀に昨日あったことをすべて話させひどく後悔した
【風邪編 おわり】
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