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違和感
銀の進路の事で少し気まずくなってしまった次の日…
重い気分のまま学校に登校していくとなぜかやたらと視線を感じた
「……?」
きょろきょろと見回してみても誰と目が合うわけじゃないけど俺が目を逸らすとまた誰かにじろじろ見られてひそひそ噂されているような…
………なんだろう…なんか…やな感じ…
でもその訳も分からず足早に学校へ向かった
「………」
校舎に入って生徒が増えてからの方がそれはもっとあからさまで教室に行くまでずっと誰かの視線とひそひそ声がついてきた
「…おは、よ…」
とりあえず自分のクラスに来て見知った顔を見てホッとした
でも俺が声をかけると突然クラスがしんとなってみんな一斉にこっちを見た
…え………
健斗と桜井さんと藻府だけがおろおろ落ち着かない顔をしていて久遠さんは片眉を吊り上げて機嫌の悪そうな顔をしていた
銀はまだ来てないみたいだった
え…お、おれ…?
「……え、えっと…」
俺がなにかしたのかそれとも何かのどっきりなのかと考えてみたけどなに一つとして思い当たる節がない…
居心地が悪かったけれど入口で突っ立ってるわけにもいかずみんなの視線を浴びながらそそくさと自分の席に向かった
クラスメイトからの視線は好感のもてるタイプの物ではなかった
「………」
「………」
沈黙が痛い…
教室から出ようかとも思ったけどなぜか学校中こんな感じなんだからどこに行っても変わらない
気まずい…俺は何をしたんだろう…
俺の前の席でソワソワと何か言いたげにこっちを振り向く健斗になにがあったのか聞きたかったけどこんな人が注目している状態で聞けるはずもない
俺にはただひたすら座ってることしかできなかった
銀が来れば何か状況が変わるかもなんて思ったけどその頼みの綱の銀もなかなか来なかった
「………ねぇちょっと杉田…」
「………?」
しばらく…実際はそんなに時間が立ってなかったのかもしれないけど座っていたら別のクラスから派手な化粧にキツイ香水のにおいをまとった女子がやってきた
ケバくて良く銀に絡んでてしかも彼氏が途切れずにいるみたいな話を聞いたことがある
なんて言うか…ギャルっぽい感じの子だった
何人かの取り巻と一緒に座ってる俺を見下ろしている
「あのさちょっと聞きたいことあるんだけど…」
「…な、なに…?」
何かこの状況に関係があることなんだろうか…
こういうタイプの人となかなか話さないから普段なら緊張するところだけど今はなんて言うかそれどころじゃなかった
その子が聞いてきたことはとんでもないことだった
「あのさ…あんた……銀くんと付き合ってるってマジなわけ…?」
「………へ……?」
その質問に頭が真っ白になった
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