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ひどい顔

あとから思えば昨日の事もあってまなを試したい気持ちも強かったんやと思う オレが『せやで』なんて言わなければそもそもこんなことにはならんかったんや… 普段やったら絶対言うたりしなかった… まなを困らせたりしたいわけやなかった… 「っち…ちがう…!!」 まなが急に大きい声を出した 顔色が悪くはぁはぁと肩で息を吐いとった ひどい顔をしとる 「ち、ちがう…よ…違うに決まってんじゃん…だって、さ…銀男だよ?俺だって……」 まながへへっ…と引きつった笑いを浮かべている そう言ってるものの言ってる自分が一番苦しそうやった 違うって…何が違うん… 周りでさっきまでまなやオレを質問攻めにしとったクラスメイトはじっとまなに注目して話をきいとった 「あ、ありえないだろ…男同士だぞ、ハハッ…そんなの…」 まなの顔色がどんどん悪くなる もうほとんど真っ白やった …ありえないん?まなそんな風におもっとったん? 別にまながそんな風に思ってない事ぐらいわかってた まなやって必死やったんやと思う 今まで自分にとってもオレにとっても隠していた方が楽だろうと隠してきたものをオレに急にばらされて、たくさんの人に囲まれて、大きな声で厳しく質問されて…考え上手くまとまらないままとにかく隠しとかんとと思っとるんや… でもその時のオレはそう思ってやる余裕がなくて、ただただイライラしとった オレの撒いた種やのに…   ぱちっとまなと目があった オレの顔を見たまなはハッとした表情になった 蒼白だった顔がくしゃっとゆがんで口が開く 「あ…ぎ…」 「………」 「!!ぎんっ!!」 なんだかいろいろ耐えられなくなって教室を後にした あてつけのようにまなを困らせてしまった自分の子供っぽさにか、それとも今のまななら人前ででもオレと恋人同士やって言うてくれると信じてた期待であり願望が裏切られたことについてかわからんかったけれどなんや嫌な気分やった 「ぎんっ!!」 「………」 くそっ… まなの声は聞こえとったけど止まらんかった なんでみんなにちゃんとオレと付き合うとるよって言うてくれないん? まなにとってオレはそんなに恥ずかしい存在やったん? ぐいっとまなに腕を引かれ階段の踊り場で引き留められる 無理矢理振り向かされた先には蒼白な顔のまま困ったような後悔しているような表情を浮かべるまながおった オレの顔を見てびくっと体を震わせ怯える 「銀、ま、まって…」 「………」 まながおずおずと絞り出した声は震えとった

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