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一人ぼっち

「………」 「………」 銀が怖い顔で俺を見下ろしている 冷たい目線で威圧されて銀の顔をまっすぐ見れない… ……怖い… かたかたと体が震えた でもいまは銀とケンカなんかしたくなかった… 昨日のことだって謝ろうと思ったんだ…今は素直に頑張ってねって言えなくてもこれからいっぱい話して頑張ってねって言えるようになろうって思ってたんだ…… さっきのだって…本心じゃ… 「……ご、めん…」 「…なにが?」 「あ…あさ、の…さっきの……別に本心じゃ…」 「……はぁ…」 「ッ」 銀はひどくイラついてるみたいだった それなのに悲しそうな顔をしているのが辛かった 銀がため息をつく 「……別にあやまらんくてもええよ…」 「………で、でも…」 「ええって」 銀が声を荒げる でも銀…怒ってるじゃん… それが一番つらかった 銀とちゃんと話して、なんでみんなにばらすような事言ったのか説明してもらって、謝りたかった… 銀がイライラしたまま口を開く 「なぁまな…まなにとってオレそんな恥ずかしい存在?」 「ち、ちが…」 「でもみんなの前でああ言うとったやん、ありえないんやろ、男同士とか…」 「…そ、それは…」 今までになく銀が感情的になって怒っていた 自分が言ってしまったことなのに銀に改めて言われてじわっと涙が滲む 『それは…』と再度口を開くけど続けることができない 銀はそんなオレをみてはぁ…っと大きくため息をついた ガシガシと頭を掻いてからもう一度ふぅーっと大きく息を吐いた 銀が俺に向き直って口を開く ほんの少しだけ声のトーンが落ち着いたような気がした… 「………ごめん、オレ今日もう帰るわ…冷静に話しできひん…」 「………」 銀はそう言うとそのままくるっと踵を返していってしまった ギュッと拳を握ってイライラを必死に抑えていたんだと思う ………どうしよう… 銀が見えなくなってかくんっと膝から力が抜けてしまった 怖かった… なんだか悲しくなって目にたまってた涙がぽろぽろこぼれて行く さっき教室で聞こえた心無いセリフや軽蔑するようなクラスメイトの視線を思い出した

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