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漏洩元
………
「なぁなぁ…アノ話、まじなのかな?」
「さぁ…本人たち来てねえし、わかんねえよ」
「でもなんか信ぴょう性あるって言うかさ、そう言われるとそうかもって思うよな…あいつらなんか異常に仲良いし…」
「…あぁ…」
「え、じゃああいつらのあのキスマークとかってのもさ…」
「……そりゃ…そういうことなんじゃねえの…?」
俺が部活仲間と秘密を共有して数日経った頃のある朝
学校中とある話題で持ちきりだった
「なぁ、紺庄~お前杉田とも頬付とも仲良いし、お前もホモなんだろ?なんか知らねえの?」
「えっ…おれ…は…知らない、けど…」
「マジで?何も聞いてないの?幼馴染だろ?」
「…う、うん……」
「………」
話題を振られた紺庄が困った顔をしている
ホモなんだろ?って…失礼だろ…俺がそんな事言えた義理じゃないけど…
ぐっと唇を噛む
だって俺がこのうわさが広がった原因だから…
あの日絶対に言うなと言って部活仲間に頬付と杉田の事を話した
みんな驚きつつも言わないと約束してくれたはずだった…
でも男子高校生の口の堅さなんて信用にたるものではなくて…ものの数日で噂は学校中に広まってしまった…
………
杉田と頬付への罪悪感でさっきからずっと腹が痛かった
この話だってそもそも頬付と杉田が打ち明けてくれたとかそう言う話ではない
俺達がひっそり後をつけ結果知ってしまったことなうえ、頬付が頭を下げて言わないでくれと頼んで来た話だ…
杉田に限っては俺や久遠さんが知ってるってことすら知らない…
「本当なのかな~?頬付クンがそんなの…ショックだよぉ~…」
「そんなことあるわけないじゃん、だってさぁ?杉田だよ?」
「あ、それわかるかも、ノアくんと銀くんとかならなんていうか…私たちとは別の世界の人たちなんだな~みたいな?感じでまだわかるけどさぁ…」
「そうそう、杉田ってなんか…パッとしないじゃん?良いやつかもしれないけどコミュ障気味だし顔も特にカッコいいってわけでもないしさなんか全体的に普通なんだよね~…付き合ったら退屈しちゃうタイプって言うの?」
「あ~わかるわ~」
なんて女子も適当な事を言ってる
杉田も頬付も…そんな事言われる筋合いないのに…
「………ねぇちょっと…藻府…」
「ッ!!は、はい?」
もんもんとしていると後ろから突然声を掛けられてびっくりした
慌てて振り向くとそこには久遠さんと桜井さんがいた
こっちに怪訝そうな視線を向けている
………ヤバい…
「あのさ…これって…さ…」
終わったと思って覚悟を決めた、でも久遠さんがそれを言い終わる前にがらっと音がして教室の扉が開きなんと杉田が入ってきた
「…おは、よ…」
杉田が遠慮がちにそう言うと一気に教室が静まり返った
久遠さんも何かオレに言いたそうな顔をしていたけどそれを言える空気でもなく渋々口を閉じたって感じだった
た、助かった…
不覚にも一番初めにそう思ってしまった
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