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不穏な動き

すこし時間をさかのぼって銀が学との関係を暴露した日の放課後… 学校近くの駅に併設されているファーストフード店に三人の派手な格好の女子がたむろしていた 各々自分のスマホを手に持ち高速で指を動かしながらストローでジュースをすすっている 「あーもう、あいつちょー腹立つ!!」 そのうちの一人ががんっと自分が飲んでいた飲み物をいらだたしげに机に叩きつけた 周りからの視線が集まるけれど気にせずにイラつきをあらわにしている 今朝学に銀と付き合っているのかと問い詰めていた女子だった 「あいつって杉田?」 「そう!!ゲイとかキモ過ぎ!!志波君とかはともかくさぁ~あんなの銀くんと釣り合うわけないじゃん?身の程を知れって感じ?」 「確かに特にいいトコもないよね~」 「そう!!なんか紺庄とかさぁ~かわいいとかならわかるけど銀くんなんであんなのと付き合ってるの?マジ意味わかんない!!」 再度その女子は机に飲み物のカップを叩きつける その子の友人たちはそんなその子の様子をみて笑ったりため息をつきながらもスマホを弄ったりしているだけだった 「大体なんなの昨日のアレ!!こっち聞いてんだから『はい』か『いいえ』で答えればいいじゃん!!なんであんなもったえぶって話すの、コミュ症かよ!!」 「コミュ症でしょ~」 「なんか女子と話すのとか苦手~ってオーラ出してるしね、絶対童貞だよアイツ」 恥ずかしげもなく大声でそんな会話を繰り返す 周りの客が明らかに睨み、咳払いしても気づいてか気づかずか無視していた そしてそのうちの一人が思いだしたようににまっと笑った 「じゃあさぁ~やっちゃえばぁ~?別に今アイツに仕掛けても誰も止めるやついないだろうし?」 「おぉ~いいね~最近やってなかったし男だから多少大丈夫っしょ?」 「………」 そう提案した友人のうちの一人はけらけらと笑い、もう一人もスマホから顔を上げにやりと楽しげに笑っていた そんな二人の友人をその子が見比べている そしてやがてんんーっと伸びをすると満足げににんまりわらった 「やっちゃう?」 「やっちゃえやっちゃえ」 「やっちゃえ~」 友人二人ものりのりでそう答えていた 再度その子が笑顔になった 「やっちゃうかぁ~、あいつなんか調子乗ってるし?正直銀くんと付き合ってるんだったらそれぐらいの恨み買ってもらわないとね?」 ごきげんそうにそう言うとその子は友人二人を引きつれてやっと店から出て行った

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