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惨めな気持ち
銀とケンカしてしまった…
せっかく久々に会えたのに……
『オレがそれを望んどったと思うとるん?』
『……だってっ、みんなに付き合ってること言いたいって…』
『そのことやない…まながあんな風に嫌がらせされることや』
銀の言ってた事が脳内で蘇る
思ってもみなかったような事を言われてびっくりした
……銀…怒ってたな……
じわっと涙が浮かんだ
銀が大事に思ってくれたのに意地張ってしまった…
次から次へとあふれ出る涙を袖で拭う
でも…くだらないなんて…
そう言われたことを思い出して余計涙が出た
そんなこと思っても言って欲しくなかった…
くだらないってわかってても一週間耐えたんだ…
なのに…
立っていられなくなってしゃがみこむ
………………俺の我慢はなんだったんだ…
ひとしきり泣いて目の赤いのが引いてから教室に戻ると、銀の周りには大きな女子の人垣ができていた
そのうちの何人かが入ってきた俺に気づいてこっちを見たけど今は銀の方が重要らしくすぐに目を逸らして銀に向き直った
「ねぇ銀くん私にしようよー?」
「どうせあいつにそそのかされたとかそう言うのなんでしょー?ねぇー?」
「ぎんくーん?」
「………」
銀はそんな事を言う女子になにも行ってくれなかった
何も言わずに自分の席に戻って拭きかけだった机を再度拭きはじめる
銀は机に突っ伏して寝ているみたいだった
周りの女子はそんな銀を起こして話を聞きたいらしい
銀の肩に手をおいて銀を揺すったり軽くたたいたりしている
「ねーぇー?」
「銀くーん?起きてー?」
「………」
「ぎんくぅ~ん!!」
「………」
女子が甘えた声を出して銀の体に触れている
………
俺に見せつけるみたいにわざわざ後ろで声をあげ、こっちに意地悪な視線を向けて銀に触れ、体をすり寄せる
嫌だったけどそれをやめてよって言う勇気は今の俺にはなかった
ぷいっと目を背けて自分の席に座る
それを見て女子は満足そうにくすくすと笑った
惨めだった…惨めで辛い…
オレはギュウッと唇を噛みしめて後ろで銀に話しかける女子の声を聴いてるしかできなかった
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