922 / 1015

別れよう

いつまでそうしていたかわからない… 銀と額をくっつけお互い緩く、ゆっくりと呼吸をつづけながら、暖かくて、気持ち良くて、心地いい時間が続いた… 静かだった… そして銀がやっと顔を離して俺を見つめた ふわっとした優しそうな顔のままだったけれど悲しみの色が強くなっている そしてなぜか名残惜しそうにするっと俺の頬に触れた その顔が急にふっと陰って悲しげで、でも真剣な表情になる 俺の背に回された銀の手の力が強くなった 銀のいつもと違う雰囲気に少し不安になる 「…ぎ…」 「………あのな…まな」 声をかけようとしたら遮られてしまった 銀が真剣な表情で話かけてくる なんだか嫌な予感がした 「……あの、な…」 「………」 「…大事な話、ちゃんと最後まで聞いて?」 「………」 銀が俺の目を見つめる 吸い込まれそうな茶色の瞳が少し揺れていた ふぅっと銀が自分を落ち着かせるように深呼吸する 「………」 「………」 しーんっと…しばらく沈黙が流れた 銀は何かをためらっているようだった 自分の心臓の音だけがドクドクとうるさかった でもとうとう銀は決心したようでまっすぐに俺を見つめゆっくりと口を開いた 「あんな、まな…………………オレら………別れよう…」 銀の言葉がゆっくりに聞こえた …わか…れる………? また頭が真っ白になって目の前が真っ暗になるような錯覚に陥った わかれる…?わかれる…って……別れる? 銀と俺…が…? 銀はまっすぐに俺を見つめている 銀の顔はいたって真剣そのものだった… なんだかその言葉を聞いたとたん急に気が遠くなるようだった…

ともだちにシェアしよう!