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考える時間

「あんな、まな…………………オレら………別れよう…」 オレがこう言ったときのまなの顔はいつまでたっても忘れられないと思う さっきまで安心しきってほっとしてオレに撫でられ、キスされ、額を合わせとったのにそう言った瞬間急にまなは体を硬くして驚愕のまなざしをオレに向けた オレのシャツを握る手にギュッと力がこもる まなは口をはくはく動かしながら必死に次の言葉を探しているみたいやった 「………まな…?」 「わ…か、れる……?」 まなはやっとそう口に出すとぶわっと目に涙を浮かべた 体が小刻みにかたかた震えとる まなの目に浮かんだ涙がぽたっと保健室のベッドの上に落ちた まながいやいやと首を振り体を捻ってオレから離れようとする 「あんなまな…ちがうんよ……泣かんといて…」 「うっ、うぅ…うぅう…」 そう言ってまなを抱きしめ背中を撫でるけどまなはいやいやと首を横に振る オレの胸を押し返す手には力が入っていなかった 「まな…聞いて…あんな、まなの事嫌いになったなんて事絶対ない…大好き…大好きやから…聞いて…」 「………」 まなはそう言ってもかたかた体をふるわせとった ふうっと息を大きく吸いこんで出す そんな自分の呼吸も震えているのが情けなかった 「あんな…言うたやろ?オレ、T大に行きたいねん…」 「………」 そう言うとまなは小さくだけれどこくんと頷いてくれた 「それでな…オレは…まなと離れても…遠距離恋愛することになってもぜったい別れたりしたくない……でもな?まなはそもそも俺と離れたくないと思ってくれとるんやろ?…すごい嬉しいねん………でもオレはT大に行く…もしまなが行かないでって言うても、泣いてもや」 「………」 まながクシャっと顔をゆがませる またぽたぽたっとシーツに涙が落ちた 「やからな、一回距離置いて、遠距離恋愛やこれから「男」の「オレ」と付き合うこと…考えて欲しいねん…」 「………」 「しかもな…俺のせいで…皆にこやってオレと付き合うとることばれちゃって…それであんな今回みたいなことになっちゃって…やっぱりな、オレがあの時「せやで」なんて言わなければこうはならなかったんやけどな、それでもまなにもう辛い思いや怖い思いして欲しくないねん…」 「………」 「別れれば、きっと嫌がらせもなくなる…」 まなはうつむいてしまった 話は聞いてるみたいやけど何も喋らずじーっとして涙をぽたぽたと流していた 再度ギュッとまなを抱き締める まなは抵抗せずそれに応じた まなの腕はだらんっとシーツの上に垂らされていた まなは考え、迷ってるみたいやった… ………まなに考えてほしい…オレとのことも…自分のこともたくさん… 「……」 「………」 でもそのためには時間が必要や… ゆっくり一人で考える時間が… 再度まなの細い体に回した腕に力を入れた

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