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好きで…好きで…

「……じゃあ、オレもどるから…『学』はもう今日早退しや…鞄後で持って来たるし、早退届け出しといたるから…」 「………うん……」 銀に『学』って呼ばれると胸のところをひゅっと何か冷たいものに触れたような感じがした 銀の瞳がかすかに揺れて俺を見ている でも俺は銀と目を合わすことができなかった 「…じゃ…また、な…」 「…うん……」 まだ何か言いたそうな様子で、でもその言葉を噛み殺すように銀がそう言うと、銀は俺に手を伸ばしかけてからそれをためらうように引っ込めて静かに保健室から出て行った しんっと保健室が静かになる さっき銀が『学』って呼んだ声と、虚しく空で止まった手を思い出した… そうか……もう銀と恋人じゃなくなったんだ…… だから…ああいう恋人のするようなことはもうしないんだ… そう思うとじわっと涙が滲んだ さっき銀に抱かれてひどく泣いたはずなのに涙は止まらなかった 今日は泣いてばっかりだ… ぽろぽろ溢れてくる涙を拭って無理やり上を向く だめだ…これじゃだめだ… グッと歯を食いしばると一時的に涙が止まった 銀と…お互いに考えて成長するために別れたんだ… そうは思っても悲しい気持ちは止らなくて涙が止まらなかった 無理やりこぼさないようにとこらえていた涙が目の上で見る見るうちに膨らんで目の端から零れ落ちた 涙は顔の横を伝い拭っても拭っても溢れ続ける 「…っう…っふ…うぁ…」 俺は抑えきれない嗚咽を漏らしながら泣いた 銀から『恋人』だった俺に向けられていた視線や優しさ、それ以外にも一緒にやった事や見たものが思い出されてきた ……………銀が好きで好きでたまらなかった…

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