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後ろ髪

「……じゃあ、オレもどるから…『学』はもう今日早退しや…鞄後で持って来たるし、届け出しといたるから…」 「………うん……」 ベットの上にヘタッと座ったままのまなから体を離してベッドから降りた ふるふると小刻みに震えるまなの体を離すのは名残惜しかった まなはオレの目を見ようとしない でももうそろそろ行かないと…ずるずるとこのままここにいるわけにはいかない… 「…じゃ…また、な…」 「…うん……」 俯いたままのまなが心配で思わず手を伸ばしかけた でも考え直して手を引く まなとオレは別れたんや… 改めてそう思うと自分からした提案やのにつきんっと胸が痛んだ まなと一緒になってずいぶん人間味が湧いたなぁと思う そのまま名残惜しい気持ちを抑えて保健室をゆっくり後にする ぱたんっと後ろで保健室のドアが閉まった 「……っふー…」 大きく息をついて保健室のドアに寄りかかった ……オレはまなと別れたんや… ぎゅっと胸を鷲掴みにされたような気がした 「………」 保健室の中から小さく嗚咽としゃくりあげる声が聞こえた 今すぐ扉をあけて側へ行って抱き締めたりたいと思った ……………まなが好きや…… いつの間にか自分の中のほとんどを占めるようになったそんな気持ちを再確認した 「………はぁ…」 大きく息をはいてから立ち上がる 後ろから聞こえる嗚咽に後ろ髪を引かれつつも一歩づつ歩き始めた ………オレがいない間、まながどれだけみんなにオレとのことを認めてもらおうと努力してくれたかはわからない… そんな安易にわかることなんてできないほど頑張ってくれたんや… でもそれがあんな結果を招いてしまった… オレの腕に抱かれ必死でしがみ付いて不安を拭いさろうとするまなを思い出した 今度はオレが頑張る番や… 教室に向かって歩きながらぎりっと唇を噛んで決意を固めた

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