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目標
「……まな…学…」
「ッ!!」
銀は俺を追いかけてきてくれた
銀が俺を心配そうに見つめる顔をみて思わず縋りたくなった
でも…
「な…なに…?」
「……大丈夫?」
「へ…あ…だ、大丈夫…大丈夫…へへっ…」
止らない涙を拭いて銀に手を振った
ほんとは銀に『もうやだ…』って言って、撫でながら『大丈夫だよ』って言って欲しかった
銀に縋って安心したかった
自分がこんなに銀に依存してたなんて…
銀といろいろあって、いろんな人にいろんなことを言われて気持ち的に弱くなってたのもあるのかもしれない…
でも、そうだったとしても強くなりたかった…
このまま銀の恋人でいるとしても、もし別れることになるとしても、銀に依存し続けるのは嫌だった
遠距離恋愛することになって、遠くで頑張ろうとする銀の重しになるなんて絶対に嫌だ…
だから…
「……そう…」
「…うん」
強くなるんだ…
銀と別れてからずっと考え続けていたことの答えが出たような気がした
銀が俺に伸ばしかけた手を引いたのを見て少しだけ悲しくなったけど涙を拭って耐えた
すぐにはそうなれなくても少しづつ…
もうこの時すでに銀と別れるなんて選択肢は消えていた
強くなって一緒にいるんだ…
「………じゃあ…オレ、行くな…?」
「…うん」
今はまだ無理だけどいつかは笑って『頑張ってね、いってらっしゃい』って銀を見送れるようにするんだ…
「……っはぁ…っぐす…」
銀がいなくなっても涙は止まらなかった
なんでこんなに悲しいのかもわからなかったけどやっぱり銀が好きだった
無理やり上を向いて、鼻をすすって、涙を拭う
大丈夫…今度はがんばれるから…
悲しいけど、なぜか少しすがすがしい気がした
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