935 / 1015
成長
銀と別れてからずっとふわふわしたような、何をしているのか不明瞭な日々が続いて、この間やっと強くなるって決めた…
今回は銀だって同じ気持ちでいてくれるから大丈夫…
別れた日に俺の顔を撫でたくさんキスしてくれた銀を思い返す
すこし寂しい気もしたけどでもそうやって俺を考えてくれた銀の事を思いだすと頑張れる気がした
「それでね!!猛がね!!」
「………」
健斗はしばらくへこんでた俺を相当心配してくれて元に戻ると今度はめちゃめちゃ喜んでくれた
ありがたいと思う…
ちなみに「強くなる」って目標が漠然としすぎて、決心したものの実はいまいち何をしたらいいのかわからなかった
だからとりあえず銀との今の関係をはっきりさせようと思った
別れたからって話しちゃダメなわけじゃないし…
だから少し照れくさかったけど銀に話しかけてみたり…
ばかみたいに緊張しながら銀に話しかけてみた自分を思い返してみて顔が熱くなった
で、でも…それでちょっと話せるようになったわけだしいい…よね…?
「…頬付~」
そう自分に言い聞かせていたら突然銀の名前が呼ばれてドキッとした
別にオレ自身が呼ばれたわけじゃないけどさ…
ドアの外には例の通り女子が頬を赤らめて立っている
思わず不安な表情を浮かべてしまった
目の前を通り過ぎる銀を見ていたら銀がこっちを見たので目を逸らす
……いやだな…
ちくっと胸が痛んだし悲しい気持ちになった
きっと銀はまた告白されるんだろう…俺よりもお似合いの女の子に…
「……学…大丈夫……?」
「……大丈夫だよ、ありがとう…」
健斗が少し心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでくる
そんな優しさが胸に染みて嬉しかった
確かに全く癖ってわけじゃないしむしろ全然平気じゃない
でも銀と付き合ってた事で嫌がらせされてから、その時に俺が銀とお似合いのかわいい女の子だったらあんな風に嫌がらせされることもなかったのかなって考えた
でも多分俺がそんな女の子でも嫌がらせはされたんだと思う
もしかしたらもっとひどく嫌がらせされてたかもしれない…
そう思うとどんな女の子が銀に告白しに来ても少しだけ心が楽になった
それにそんな風に思えるようになったなんて少しだけ成長したかなって思える
ドアから並んで出て行った銀と女の子の背中が小さくなる
「………」
やっぱり胸が痛んだけど…大丈夫…
俺に考えてほしいって言った銀の真剣な表情を思い出す
「……っはぁ…」
大きく息を吐きだして銀たちから目を背けて相変わらず心配そうにしてる健斗に向き直った
ともだちにシェアしよう!