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陽報
部屋のベットにごろんっと横になって仰向けに寝転がる
そうやって天井を見上げながら銀を思った
「………」
銀もこうやってたまには俺を思ってくれてるだろうか…
そうだと良いなと思った
でもそれと同時にもしかしたら俺と別れてやっぱり女の子の方がいいやと思ってるかもしれないと思ってしまった
きゅっと胸が狭くなったように苦しくなって顔をしかめた
いやだ…
「……っはぁ…」
思わずため息が漏れた
再度体を捻って横向きになる
そうすると枕元の机の上に置いてあるスマホが目に入った
………
前までは俺から電話やメールなんてしなくても銀からしょっちゅう電話がかかって来てた……
それにそもそも電話やメールなんてしなくてもいいぐらい一緒にいた…
窓の外ではちらちらと雪が舞っている
なんだか切ない気持ちになって目を閉じた
「………」
静かだった
その時
スマホがピコピコと光りながら音を立てた
「……ッ…!!」
特に大きな音でもなかったけれど突然の事で驚いてしまった
届いたのはメールだった
「………」
一瞬銀の事を考えてたから銀かなと思って胸がドキドキした
でもそんなわけないって、何かの広告メールだと落胆しないように保険を掛けた
実際銀からメールが来る確率よりも広告メールの確率の方が高かったはずだった…
でも…
「!!」
それは銀からのメールだった
思わず跳ね起きてベットの上に正座してしまう
もう数か月ぶりぐらいの銀からの連絡だった
どきどきと心臓の音がうるさくて手が震えた
恐る恐るメールを開く
『おめでと』
そこにはたったそれだけが書かれてた
………
でもそれで十分だった
じわっと涙が滲む
この数か月いろんなことに耐えて努力したことがこの一言で報われた気がした
………あと数か月…
あと数か月の辛抱なんだ…
ぐいっと腕で滲んだ涙を拭って震える指で『ありがとう』とメールを打ち返す
銀が少しでも自分と同じ気持ちでいてくれる事を祈った
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