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おめでとう
『おめでと』
12月26日の夜にそんなメールをまなに送った
正直送るか相当迷った
送ったらオレから距離を置こうって別れようって言うたのに意思が弱いと思われるんやないかとかそんな女々しいことを考えたりもした
「………」
じーっとメールを送ったばかりのスマホの画面を見つめる
当たり前の事だけれども返信はまだ来ていない
ホントは直接会いに行きたかった……でもそれはできないから…
ぽいっとスマホをベットの端に放り投げて天井を仰いだ
ぼんやりとまなと別れてからの事を思い返しそしてこれからを思った
あと三か月もすれば受験の結果が出るんや…
まなとの今後の事や、それよりもさらに後の事にもかかわってくる大事な結果や…
ぐっと体に力を入れて起き上がった
そう思うと一秒も無駄にできないような気がした
そしてオレが机に向かったちょうどその時
スマホが光った
まなやった
『ありがとう』
ってたったそれだけのメールやった
「……ふふっ…」
なんだかおかしくて笑いが漏れた
画面の向こうでまなが喜んでくれたことがなんとなくわかって嬉しかった
まなは泣き虫やからもしかしたら泣いてるかも知らん
そうやったらええなとちょっと思った
泣くほどまながオレの事を思ってくれとるんやったらそれほど嬉しいことはない
再度五文字だけのメールの返信を見返す
その五文字にまならしさが良く出ていると思った
何度かそのメールを読み返しそっと閉じる
さらに気合いが入った
「……ふぅ~…やるかぁ…」
三か月後にまなが涙ぐみながら笑ってくれる顔を想像するとそれだけでいくらでもがんばれそうな気がした
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