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合格
こうして長い長い我慢の期間は過ぎて行った
受験の時期に入って学校は自由登校になっていたからその分気は楽だったけれど銀と会って声を聞けないのは少しさみしかった
勉強して、ご飯を食べて、眠って、たまに銀を思ってはまた勉強して、眠った…
そんな事を繰り返しているうちに銀も俺もセンター試験を終えて二次試験も無事に終えた
そして……
「………」
受験票を手に持って大量の合格者の受験番号が書かれた掲示板の前に立ち自分の番号を探した
一つ一つ番号を辿って自分のに近付いて行く
「……1280…1283…1284………………1290…」
そこにはちゃんと俺の受験番号も書かれていた
ホッとして思わず肩の力が抜ける
…………まぁ…相当余裕の大学を受験したしやることもなかったからそれなりに勉強してたしな…
もちろん嬉しかったけれどそれよりも安心って気持ちが強かった
どうだったかと心配してメールを送って来てくれていた健斗と猛に『受かってたよ』とメールを返しながら母さんが待っている喫茶店まで歩く
すぐに『おめでとう!!!!!!!!!!!!』とやたら大量のビックリマークと大量の目がチカチカするような顔文字が書かれたメールと『おめでとうございます』という簡素なメールが帰って来た
ちなみに健斗が受験した隣の市にある私立大学は少し前に合格発表日を迎えていて健斗は見事合格を決めていた
猛のお姉さんの教育のたまものらしく、その日と次の日は猛の家と健斗の家で盛大にお祝いが催されたらしい
合格したその日の夜に健斗が走ってわざわざ家までやってきて教えてくれた
最後の最後まで担任に難しいんじゃないかって言われ続けてたし実際成績もギリギリだったから喜びも一入だったようだ
喫茶店で一人で行くから良いって言ったのにわざわざついてきてくれた母さんにも合格したことを伝えると母さんは俺よりもずっと喜んで涙まで流してくれた
大勢人がいる中で抱き締められたりしてすこし恥ずかしかったけれど嬉しかった
父さんにもそのことを電話で伝えると父さんは安心したような声で『お疲れさま』と言ってくれた
帰りに嬉しそうに話をする母さんの隣に座って電車に揺られながらぼんやりと外を見ていた
正直母さんの話はほとんど聞こえていなかった
………銀はどうだったんだろう……
T大の合格発表も確か今日だったはずだ…
別れた時に銀は目安としてこの日の事を言っていた
だから何かしらの連絡があるんじゃないかとスマホが気になって仕方がなかった
自分から俺は受かってたよって連絡しようかとも思ったけどもし銀が落ちてたら追い打ちをかけることになると思うとできなかった
そうしてひたすら待ったけれど結局その日銀から連絡が来ることはなかった
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