「………」 ガチャっと音を立てて公衆電話の受話器を置いた 久々に聞いたまなの声は思っていたよりも明るくてホッとした でもオレからの電話に出たまなはオレの声を聞いてあからさまに安心した声をしとった 心配してくれたんやろうな…悪いことした… 「ねぇー銀まだぁ～、お兄ちゃん飛行機の前にコーヒー飲みた…」 「うっさい阿呆」 「なんで!!なんでそう言うこと言うの!!お兄ちゃんついてきてあげたのに!!」 いやぁ～っと兄貴がしがみついて顔をこすり付けてきた 気持ちわるっ!! その顔面を躊躇なく殴ると兄貴は顔を押さえて離れた 「ひどい!!親にもぶたれたことないのに!!」 「うっさいばか、その親が来れへんっちゅうから仕方なくお前連れて来とるんやろ!!」 「やだやだ～ホテルの部屋だって銀別々に取っちゃうし…お風呂も一緒に入ってくれないし…うふふあははな展開もないし…こんなラブラブランデブーお兄ちゃん耐えられな…」 「……はぁ…」 「そんな呆れた目で見ないで!!」 騒ぐ兄貴を無視してスーツケースを引っ張る 兄貴も『無視しないでっ!!』なんて言いながらついてきた どうしても成人した身内が必要やっただけや…… はぁ…っと溜息が漏れた 明日は卒業式や… 不本意やったけど今日までいろいろあって学校に行けんかった… まなにはもっと早く連絡してやるべきやったな…スマホ忘れたのは失態や… …………それもこいつがギリギリまで服が決まらないとかほざいてたせいやけど… ぽーんっとアナウンスの音がしてオレらが乗るべき飛行機の案内が流れた ……明日になればまなに会えるんや… ほんの少しの期間別れてただけやった… なのにもうとっくのとうにまな無しじゃいられん体になっとることに気付いた… 「………」 まながどんな選択をするかはわからない… でもオレはまなに触れたいし、キスしたい…えっちだってしたい… 『友達』なんて肩書でもう満足できるわけがなかった… 再度深く呼吸する 目を閉じたらすぐまなのいつのどんな姿も想像できた 早く会いたい…… 「あっ!!銀今学くんの事考えてるでしょ!!もうっ、オレと一緒にいる時に他の男の事なんて考えな…」 「………はぁ…」 「そんな憐れむ目で見ないで!!」 ………もうこいつはどうでもええ… 最悪もう用は済んだんやしここに置いてったってかまわん 溜息を一つついてから無視してさっさと搭乗口へ向かった