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教室
「……早く来過ぎちゃったかな…」
誰もいない教室にそっと入って自分の席に座る
「………」
後ろの銀の席をちらっと見てからぼんやりと外を眺めた
………まだ早いもんな…
ほんの少しだけがっかりしながらも仕方ないかと席についた
鞄を机のわきに掛けて肘をつく
………長かったな…
あの日…銀に別れようって言われて悲しくて辛かった日の事を思いだした
その後も銀が俺を『学』って呼ぶのが辛かった…すぐそばにいるのに触れてくれないのが辛かった…銀が告白されてるのを見るのが辛かったし、何よりも日々そんな事を辛いと思いながら別れても銀への依存をやめられない自分が嫌だった
このままじゃ遠距離恋愛することになっても銀の重しになるだけだって思った…
「………」
机に突っ伏す
今だって銀への依存が止められたかって言われたらそんなことない気がする
銀が学校に来ないことにひどくやきもきして、今日は来るって電話で聞いた時にはドキドキして眠れなくなるほどだった
………猛にはよく『頬付先輩、学さんがいなくなったらすぐダメになりそうですね』なんて冗談で言われたけど実際銀なんかよりも俺の方が銀がいなくなったらどうにかなりそうだった…
………………この数か月…ほんとに長かった…
ここ数か月あったことを思い出すと深くため息が漏れた
「あっ!!学だ!!早いっ!!おはよう!!」
「おー…健斗…と猛もか、おはよ…」
「おはようございます学さん、卒業おめでとうございます」
「ありがとう」
するとそのうちいつも通り早く登校した健斗とそれについてきた猛が来た
健斗の髪は猛が整えたのかいつもよりもきれいにセットされていた
「じゃ、またね!!今日はおれん家来るんだよね?」
「はい、放課後迎えに来ますね」
「うん!!待ってる!!」
そう言って健斗は手を振って猛と別れると俺の前の自分の席に荷物を置いてこっちに振り返って
チラッと俺の後ろの銀の席に視線をやって俺と目を合わせた
「……今日、来るんだよね…?」
「うん…」
健斗には昨日銀から電話があったことを伝えてあった
健斗は『そっか』と嬉しそうに自分の事のように笑うと俺の頭に手を置いて撫でた
「楽しみだね!!」
「…うん……」
何も聞かずにこの数か月間…いや、それよりも前からこうやって俺を励まし続けてくれた健斗にホントに感謝していた
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