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荷物の気持ち

卒業式…お父さんもお母さんもおばあちゃんも来るし緊張しちゃってトイレ行きたくなっちゃったら困ると思って先にトイレに来たんだけど… そしたら急にどばっと人が押し寄せてきて教室に帰れなくなってしまった す…すごいひと… どんどん人の数は増えて行って気付いた時にはすでに教室に帰る以前にこの人ごみを抜けることすらできそうにないレベルになっていた もうちょっとしてから気づいたけど全部女の子だったのが救いだった もし男の子いっぱいだったら… それを想像するとさぁっと顔が青くなって気分が悪くなりかけた で…でも…ど…どうしよう… 「あ、あのっ…!!」 「きゃー!!」 「第二ボタンちょーだいぃいー!!」 「あ、あのっ!!あのっ!!」 「きゃぁぁあぁぁ!!!!こっち見たぁ!!!」 がんばって手をあげて声を出したけどでもみんな何かに夢中みたいで私とは逆の方向を向いて手をあげ大きな声を出していた あ、頭がくらくらするよぅ… そんな風にしてたら突然後ろから首根っこを掴まれてぐいっと引っ張られた 突然すぎて頭が真っ白になって、みんなと逆の方に進もうとして邪魔だって怒られるのかと思って恐る恐る顔を上げるとそこにはピンクの人がいた ピンクの人は自分の傍まで私を引っ張ると何個か質問した後に私にバッグを預け、さらになぜか私の頭にピンクの人が来てたブレザーをかぶせた あとから夏輝ちゃんが教えてくれたけど私ってわからないようにしてくれたんだって ほら、ピンクの人モテモテだから私が恨みとかかわないようにしてくれたんだと思う… ……夏輝ちゃんは嫌いみたいだけどやっぱり杉田くんの恋人だからなのかな…優しかった… ピンクの人にかぶせられたブレザーからはなんだかいい匂いがした すると耳元でピンクの人の声がした 「ちづちゃんじっとしとって?教室連れてったるからバッグ持っとってな?」 「……へ…?じっとって……っひゃぁあぁ!!!」 「………ちづちゃんかっるいなぁ…ご飯ちゃんと食べとる?」 「あ…あわゎ…」 そしたら次の瞬間には膝の裏に手が当てられて体がふわっと浮き上がった 危うくバッグを落としちゃいそうなぐらいびっくりした… お…お姫様抱っこされてる…!! ピンクの人にかっるいなぁなんて言われたことも思い出して顔が熱くなった は…はずかしいっ…!! 私がギュッとピンクの人のバッグにしがみ付いてできるだけちっちゃくなっているとまたピンクの人の声が聞こえた 今度は私に行ったんじゃなくて周りに聞かせるような大きな声だった 「っわ!!大丈夫!?え?気分悪いん!?そら大変やわ!!ちょっとー!!この子気分悪いんやって、通したってー!!」 「あーん!!頬付くんのお姫様抱っこ羨まし~!!」 「銀くん優しい~♥」 そんな風に聞こえた気がする そしてピンクの人は私にしか聞こえない音量で小さく「よしっ」と言うと私の耳元で「ありがと、ちづちゃん」と言って動き出した ゆ…揺れる…!!おちる…!! あまりピンクの人にしがみ付くのも失礼だと思ってほんのちょっとだけピンクの人の服を握って我慢した は…早くついて… でもきゅっと目をつむってそう思っているうちにピンクの人が急いでくれたからかすぐに教室には到着した

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