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卒業式

そして…… 「え~花の香りと暖かな日差しに春の訪れを感じる今日この頃…」 「………」 とうとう卒業式になってしまった…… はぁ…っと溜息をつく ちらっと横目で確認すると銀はちゃんといたからきっと入場直前に紛れ込んできたんだと思う 少なくとも先生が移動を開始しますって言いだした時には教室にいなかった ………結局話せなかった… ちなみにこの後は卒業式が終わったら荷物を取って簡単に先生が挨拶して下校だ …銀と話す機会あるのかな…? それを考えてしまうと少し不安だった 「え~関係者の皆様には感謝いたしますとともに、こころより敬服の念を表したいと思います…」 「………まなぶ…まなぶ!!」 「……健斗…卒業式中だぞ…」 この後銀と話せるパターンをいくつか考えていたら突然隣の席に座ってた健斗に声を掛けられた ちなみに健斗の出席番号は俺の前だった 『こ』から『す』まで誰もいないなんて珍しい… 「うん、あのさ、その銀と喋れた…?」 「うんってお前理解してないだろ」 「うん、ねっねっ、どうだったの?」 「おい…」 健斗が教えて教えてとねだる 実際誰も校長先生の話なんて聞いてないから別に話したって気にするやつもいないんだけどさ… 「ねぇ、学?」 「……わかったよ、静かにしろって…」 「で?」 「まだ話せてない…お前も見てたじゃん、銀すごい追いかけられてんの」 「モテモテだったね…」 「もはやそんなレベルじゃねえよ…」 はぁっと溜息をつくと健斗が笑った チラッと再度横目で銀を確認する 銀はさすがにあれだけ逃げまくって疲れたのかはーっと息を吐きながらこきこきと首を鳴らしていた ………あいつはあいつで緊張感ないな… そして女子は一様にちらちらと銀に視線を送っている たまたま出席番号の並びが女子~男子だから銀の周りは男子しかいないし、だからもちろん手を出す子もいなかったけれどそれでもいろんなところから視線が飛んできてた 卒業生だけでなく在校生からも惜しみない視線が銀一人に注がれていた …この状態じゃ、きっと卒業式後の方が銀の第二ボタン争奪戦は激化するだろう そんな事を思いながらチラッと銀の制服を見た ………あれ…? 思わず目を疑う 視線がそこにくぎ付けになった ……え…うそ…

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