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ヒーローの秘密

「何なのこいつ?」 「なに?ヒーロー気取り?モブは黙ってなよ」 突然飛び出してきた俺を女子たちは鼻で笑った もう名前でバカにされるのには慣れてる… 「何なのはこっちのセリフだろ…この期に及んでお前らこそ何なんだよ…」 「はぁ?お前関係ないじゃん?」 「うざーなにヒーローぶっちゃってるの?恥ずかしいわ~」 くすくすとこっちを見て笑っている 杉田はこっちに紺庄に向けていたそれを全く変わらない表情を向けていた こんなオレのことすら心配してくれてるんだ… ほんとに心底お人よしだと思う でもそんなやつをオレは傷つけたんだ… ぐっと唇を噛んだ 「頬付に相手にしてもらえないからってまた杉田いびりに来たのかよ…恥ずかしいのはどっちだよ…」 そういうとボス格の女の額がぴくっと動いた 「………ちょっとあんたふざけるのもいい加減にしなよ……」 「そーよ!!誰のせいで頬付君にそんな態度取られてると思ってるわけ!?」 「お前らのせいだろ!!」 「ッ!!」 「…ッ」 そう語気を強めて言うと少し女子たちがひるんだ そんなの自業自得だ…杉田は何の関係もない… 杉田は今回の件に本当に何もしてない…なにも言われる筋合いのない存在なんだ… 「今頃杉田をいびったって頬付が振り向いてくれるわけでもない…っつうか余計に嫌がられるだけだって分かんねえのかよ…」 「………」 「………」 「………」 怒りと言うよりも少し前の自分を見ている気持ちだった 自分がどれほど残酷なことをしているかに気付かず別の事に気が行ってしまって盲目になってる… それで傷ついているのは前回も今回も杉田だった… なんとかわかってほしいと思った 以前のオレと同じ過ちを続けようとする彼女たちを止めることがオレから杉田への唯一の贖罪になるような気がした でもそんな気持ちを激昂し興奮してる彼女たちがわかってくれるわけもなく、彼女たちは一瞬ひるんだものの気を取り直してこっちを見据えてはにやりと笑った そしてボス格の女がとっておきと言わんばかりに口を開いた 「……あんたさ…藻府っていったっけ?…さっきからそうやって偽善者ぶってるけど…うちら知ってるんだからね?」 「………?」 「バレー部の奴がさ~言ってたんだよね…杉田と頬付君が付き合ってるって噂流し始めたの…バレー部の藻府ってやつだって…」 「ッ!?」 「あんたさ、バレー部じゃなかったっけ?」 女子たちはそういうと勝ち誇ったようにケタケタと笑い出した クラスのやつらもざわざわしだす 中には『まじかよ…』とか『最低…』なんて言っている声も聞こえた 急に頭から冷たい水をかけられたような気がした さっきまで興奮で熱くなっていた体が今はひどく冷たい気がした

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