967 / 1015

思い出の場所

「……………」 ドアの前に立って大きく深呼吸する ………前もここ来たなぁ… 一年以上前の事を懐かしく思った 確かあのときは銀が俺の事をホントに好きなのか信じれなくて…不安になって…銀とケンカしちゃって…たくさんの人に迷惑かけた… あの時銀が好きだと言ってくれてホントに嬉しかったのを良く覚えてる… でもそれからも銀の相手がホントに俺なんかでいいのか自信がもてなくて…いっぱい悩んで仲たがいしちゃったこともたくさんあったな… 「ふふっ…」 ふふっと自然と笑みがこぼれた 五月に銀が転校して来て…カラオケの王様ゲームでキスして、お酒飲まされて気を失っちゃって… それから銀のおもちゃになれって、初めは脅されて付き合い始めた… でもどんどん銀を好きになって… 好きって言ってくれなくて悩んで、一緒に旅行も行って、学祭も体育祭も一緒だった… 志波が転校して来てまた銀とケンカしちゃったり、銀の元カノだった静香さんと金さんが銀に会いに来てすれ違ったり… ホントに…ホントにいろんなことがあった… 「………」 嫌な事もいっぱいあったけど…でも……それ以上に嬉しいことや楽しい事の方がたくさんあった… 銀にもし別れを告げられても今なら笑って「そっか…頑張ってね」って言える気がした 銀が俺の事を本気で愛してくれたからだ… 想像するだけで悲しくておかしくなりそうだし、きっとホントにそんな事言われたら何日も泣くと思う… でも銀が悩んで選んだ決断ならいいと思える気がした 「……す~…っはぁ~」 大きくひとつ深呼吸する 銀はきっとここで待ってる… ただの直感で予想だったけどなぜか確信していた 3か月…それ以上ぶりに銀とちゃんと話すんだ… 不思議とドキドキはしなかった すがすがしい気持ちで頭が冴えていた 「……よし…」 こうして覚悟を決めて俺は保健室のドアを開けた

ともだちにシェアしよう!