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一緒がいい
保健室でぼんやり外を眺めてた
学校のグラウンドの脇に咲いてる桜から花弁が散ってきれいな桜吹雪だった
しばらくするときぃ…っと控えめな音がしてまなが入ってきた
オレをみて動揺したり頬を染めたりせず堂々としとって、なんていうか…まならしくないまなやった
まなはオレの隣に人ひとり分スペースを開けて座りちらほらといくつか言葉を交わした
大学に受かったことを告げると泣いて喜んでくれた
そんなまなが愛おしかった
「……じゃあ…」
「……うん…」
まなは涙を拭いてまっすぐこっちを見た
透き通った綺麗な目がオレをみている
一つ大きく呼吸をした
まながゆっくりと口を開いた
「……銀と別れて…俺さ、ちゃんと考えたんだ…銀とね、わかれて友達でいるのもいいのかもしれないって思ったりもしたんだ…」
「………」
黙ってまなの話を聞く
「でもね…銀が他の女の子に告白されてるの見たりすると…胸のとこ、きゅってなって苦しくなって……すごく悲しくなった…」
「………」
「銀とやっぱり一緒にいたいなって思ったよ…」
「………そっか……」
学は優しい顔をして目をつぶってひとつひとつ思い出しては口に出すようにゆっくりと話した
嬉しくて思わず手が震えた
今すぐまなを抱きしめたい衝動を抑えて手を伸ばした
「でもね…今のままじゃダメだなって思ったんだ…」
「………」
伸ばした手が空中で止る
………ダメ…?
「……いまのままじゃね…俺…きっと銀が遠くで知らない誰かに告白されてるのかもしれないって思うだけで悲しくてどうしようもなくなっちゃうと思ったんだ…」
「…………」
「銀がね…すごく好きだから…一緒にいたいなら強くならないとって…俺、頑張ったんだよ?」
まなは妙なぐらい素直に話してへへっとはにかみながら『まだやきもち妬いちゃうけどね』と付け加えた
ゆっくりと目を開いて視界に入ったオレの手にそっと触れた
思わずビクッと手が震える
まなはその手を大事そうに両手で包み込むように握った
でも急にフッとまなの顔が陰る
「…………きっとね…たくさん迷惑かけると思う……やきもちも妬いちゃうし、たくさん電話してほしいし、きっとすぐ会いたくなると思う…でもね…」
「………」
「それでも、よかったら…一緒が…いいな……って…思っ…あっ…」
でもまなの表情はぐんぐん歪んでそこまで言うととうとうまなの目から涙が零れ落ちた
次から次へと涙があふれてきて止まらなくなる
どうして急にまなが泣きだしたのかわからなくて困惑した
まだ答えを聞いてないのに抱き締めて泣くなって言いたくなった
「あっ…べ、つに…こん、な…つもり、じゃ…」
まなが焦って涙を手で拭う
オレの手を握るまなの一回り小さな手が震えていた
今のオレにはまだ待つことしかできないんや…
オレの手を握るまなの手を握り返してやる
まなはぎゅうっと唇を噛みしめて必死に涙をこらえようとしていた
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