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第二ボタンの行方
「あっ…やだ…こん、な…つもり、じゃ…」
「………」
銀に一生懸命自分の気持ちを告げた
何か月も考え抜いて出した答えだったけどそれを口に出すうちに銀の第二ボタンを持っているかもしれない女の人を思うと悲しくなってきて辛くて泣いてしまった
今握ってる銀の手も…もう二度と握れないかもしれない…
「うっ…ごめ…ぎん…」
「………」
泣き止もうと必死に目を擦って唇を噛むけど涙は止まってくれない
でも銀は俺の手を握ってじっと待っててくれた
もしこれが最後になったとしても、すべて自分の言葉で伝えたかった…
ぎゅっと震える手で銀の手を握り返して震える唇を開いた
「…ッズ…も、もし…銀が…その…いい、女の人、みつけた…なら…俺の事気にしなくて、いいから…その人と……」
「えっ、まな…?」
「……そ、の…人と…一緒に…」
「っや、まなちょっとまって?」
銀が俺の話を遮るように声を出した
きっとなんで俺が知ってるんだろうって驚いての行動だろうと思ったからそのまま最後まで言い切ってしまおうと再度口を開いたけどあからさまに銀が戸惑ったような口調でそれを止めに入った
「………?」
そっと視線を上げると銀が困惑したような顔をこっちに向けていた
その視線にこっちが困惑してしまう
「…え…まな、いい女の人って…なに…?」
「……え…?」
「なんでこのまま別れる感じになっとるん?まな…オレと一緒がええって思ってくれたんやろ?」
「で…でも…ぎん、の…ボタンが…」
「ボタン?」
「第二ボタンが…」
「あぁ…」
そこで困惑したまま銀の制服の無い第二ボタンを指差すと銀は納得したように頷いた
急にごそごそとズボンのポケットを探り始めた
「ははっ…やっぱりまなもこういうの気にするんやな?」
「……悪いかよ…」
「いいや?」
銀がニヤッと笑うからなんだかそれが気に食わなくてついぶすっと返事をしてしまったけれど銀はなんだか嬉しそうだった
そして銀のポケットから出てきたのは…
「ほら…これ…」
「……これ…」
「ん、第二ボタン」
銀の手の中にはくすんだような金色の第二ボタンが乗せられていた
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