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約束のお守り
銀は全部話してくれた
合格から今まで何をしてたのかも……
結局些細なすれ違いがこじれにこじれてこんなふうなことになってしまったんだ…
銀はちゃんと初めから俺のこと考えててくれてたんだ…
そう思うと少し後ろめたいような、嬉しいような気がした
「……まな…?」
「……ん…?」
「あんな、まだ渡すものがあんねん…」
「……?」
幸せな気持ちで銀の体に体を寄せていると銀が再度そう言った
もうボタンはないはずだけどな…?
思わず銀の制服に視線をやると銀は俺の考えていたことが分かったみたいでふっと笑った
「ははっ、さすがにもうボタンやないで?」
「……わかってる…」
「あれ?そうなん?てっきりボタンやと思っとると思っとった?」
銀はニコニコしながらベッドの脇に置いてあった自分のバッグを開けて何かを取り出した
そして銀が手に持ってるものを見てハッとした
その薄い水色の小さな箱はテレビでよく見たことがあった
ふふーっと銀が嬉しそうにその箱を持って俺の隣に座る
そして俺の方に体を向けて俺の額にちゅっとキスをした
銀は俺との間に箱を置いて額が触れそうな距離のままそっとその箱を開いた
「……ッ!!」
まさかとは思っていたけれど中の物を見て声が出なかった
そこには銀色の指輪が入っていた
またぶわっと涙が出てくる
今日は泣いてばっかりだった
「ははっ…まなこれ見たら泣くやろなぁって思っててん」
「…ッ…」
「やっぱり泣いた」
銀がははっと笑いながらその箱から指輪を取り出した
内側には今日の日付と俺と銀の名前の頭文字がアルファベットで彫り込まれていた
そのまま俺の左手を取ってそれを薬指にはめる
それは俺の指のサイズぴったりだった
「よかった…前な?いつかこんなことあるかも思うてまなの指のサイズ測ってたんやけど…変わってなくてよかった…」
「………ぎ…ん…」
「ん?」
「あ…りが、と…」
「……んーん…頑張ってアルバイトして買ってよかった…似合うとるよ…」
そう言って銀は再度俺の額にキスした
それから自分のバッグを探ってもう一つ同じ薄い水色箱を取り出す
中にはもう一つ同じ指輪が入ってた
銀はそれを自分の左手の薬指にはめると満足そうにこちらにそれを見せた
銀の白い肌の上で銀色の指輪が輝いてる
「ん、お揃い…ええやろ?」
「……グズッ…」
「……お守り…大事にして?」
「…ん」
首を何度も縦に振った
銀が指輪をはめた左手を俺の左手に絡める
同じデザインの指輪が二つ並んでいた
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