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君の全て

「……まな…忘れんといて…」 「………」 「何があってもな?まなが一番…絶対に…やから不安になんてならんくてええんやで…」 「………」 銀は俺の額に自分の額をくっつけてそう言った 絡めた左手で俺の指や手のひらをなぞったりしている 手にはお揃いの銀色の指輪が輝いていた ゆっくりと銀が顔を寄せてきた 思わずきゅっと目をつむった でもなかなか来るだろうと思っていた感触は唇に来ない 薄く目を開く 「……ははっ…キス…口にしたら我慢できんくなりそう…」 「……っん…?」 銀はそういって俺の唇の端にキスした なんだか釈然としなくて銀をにらむように見た 「本物は帰ってからやな」 「………」 そう言って笑いながら俺の頭をなでる なんだか子供扱いされているような気もしたけどこんなやり取りも懐かしくてうれしかった 銀は再度俺の鼻の頭にキスするとよいしょっとベッドから降りて伸びをした 「んん~…っはぁ…じゃ、帰ろか?」 「あっ…待って…」 そこでハッと思いだした そうだ…俺も銀に…… あわててベッドから降りて先生の机の上からさっきまで銀が使ってたハサミを持ってくる 銀はきょとんとした顔をしてたけどオレがハサミを持って戻ってきたのを見てうれしそうな顔をした そんな期待されるとなんか…やりにくいんだけど… そんなことを思いながらも制服の第二ボタンを切り取る そしてそれを銀に差し出した 「これ…その…俺も…銀に……」 「…………他のは?」 「…え?」 「他のボタン、それはくれへんの?」 「!!」 銀が俺の第二ボタンを受け取りそのボタンにチュッとキスをしてそう言った カッと顔が熱くなった 銀が俺の耳に口を寄せる 「…まなの、全部ほしい……」 「ッ!!」 「ふふっ」 「……ばか…」 銀は楽しそうだった ………腹立つ… むすっとしてベッドの上に散らばったままだった銀のボタンを集めて銀に背を向けると銀はまたとぼけた声を出した 「あれー?全部くれへんの?」 「ッ!!か、帰ってから!!」 「へー…帰ったらまなのぜーんぶくれるんや?」 「ッ~~~~~!!!!その言い方やめろ!!」 「えー?」 「えー?じゃない!!」 怒って保健室から出て行くと銀が待ってやぁ~なんていって追いかけてきた …もう…知らない…………っていつもなら思うとこなんだけど… 銀が俺の隣に来て嬉しそうな顔で顔を覗き込む 思わず顔がゆるんだ 今日ぐらいは…ちょっとぐらい、いいかも… そんな風に思った

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