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飲み物はいらない

「………」 「………」 銀に手を引かれて銀の部屋に入った なんだか初めて入る部屋みたいに『銀の家』の匂いがした 後ろで扉がバタンっと閉まる 「…お、おじゃましま…わっ!!」 「………」 銀が何も言わないからとりあえずって感じで声を出したら急に振り返った銀が扉に手をついて俺に顔を寄せてきた か…壁ドン… なんだかちょっと照れくさい気持ちになる でもそんな気分に浸る暇もなく銀の顔が迫ってきて口にキスされた 「っん!?ふぁ…!!」 「………」 銀は俺の頭を両手で包むみたいに両頬に手を添えてリップ音を立てて唇を寄せたり離したりしていた 上唇を吸われ、そう思ったら下唇を吸われだんだん息が苦しくなって体から力が抜けそうになる 始めはぎこちなく固まっていた俺の唇もふにゃふにゃになってだんだん唇が半開きになってきた 銀の舌がその隙間から口内に滑り込んでくる 俺は銀のされるがままになって息を吸うので精いっぱいだった でもしばらくして銀は急にぴたっとキスをやめると顔を離した はぁはぁと荒く息を吐く俺の口から銀の口まで唾液が糸を引いていた あと少しで膝から崩れ落ちそうになってしまっていた俺の体を銀が支え『っはぁ…』っと熱く息を吐きながら俺の肩に顔を埋めた 「……おかしくなりそ…」 「………」 熱のこもった銀の声が聞こえた 銀はそれから一つ大きく深呼吸すると俺を部屋まで連れて行った そっとベッドの上に座らせられる 酸欠から解放された俺は暗い部屋の中に立ってこっちを見つめる銀をじっと見つめていた 窓から入ってきた月光が銀の左手の指輪に反射している 銀はゆっくりとベッドに座る俺の太ももの脇に手をついて俺の耳に顔を寄せながら口を開いた 「……飲み物…緑茶でええ?」 「……へ…?」 一瞬頭が真っ白になった それは俺が銀の家に遊びに来たときに銀が初めに聞くことだった ぽかんっとする俺の顔を見て銀がぷっと吹き出す 「……なんて…そんな雰囲気でも無いわな…ははっ…」 「………」 銀はそう笑うと少し震える手で俺の頬を撫でた 珍しく銀は緊張しているみたいだった 「………まな…してもええ…?」 銀にしては弱気な聞き方だった 今度は思わず俺が吹き出してしまいそうになる なんだかそんな銀が可愛くて愛おしかった 銀の首に腕をまわして自分の方に引き寄せる 大胆なことしてる自覚はあったけれどなぜかいつもみたいに恥ずかしいとか思わなかった そしてそっと口を開く 「……しよ…銀……」 銀はそれを聞くとよしって言われた犬みたいに俺に覆いかぶさって来た

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