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涙の痕
「……ぎ…ん…」
「………」
「………やだ…」
「………」
「………いか、ないで…」
「………」
「………ひとり、に……しないで……」
そんな声が聞こえた
ぼんやりした意識が徐々にはっきりしてきて、薄く目を開くと隣に寝ていたまながオレの胸に縋って泣いとった
「っう…うぇ…ッ…いっしょに…いて…」
「………」
まなの切実な本心やった
ほら…はじめっから強がって『一人でも大丈夫だよ』なんて言わずに我慢せず泣いたらええのに…
まなはオレが寝ていると思っているからそんな弱音を吐き泣いているのだろう
やからオレはそこでまなの背中に腕をまわして抱き締めてやることも声をかけてやることもしなかった
いつでも…寂しいっていうてくれたらすぐ会いに来るから…
約束する…
心の中でそう言いつづけた
「………ぎ………ん……ぎ、ん………」
「………」
そしてしばらくするとまなのしゃくりあげていた不規則な呼吸は規則的になりまなは泣き疲れたのかまた眠ってしまった
ゆっくりと目を開きまなの顔を覗く
目元が赤くなって、鼻の頭も赤かった
昨日までのようなただただ幸せそうな表情はしておらず、眉間にはしわがよりどこか苦しそうな…そんな気がした
まなの眉間に寄ったしわを人差し指で触れて解す
「大丈夫やで…まな…」
「………」
まなはもう聞いていなかったけれど眠っている学に声をかけた
「そんな心配なんてしなくてもええんやで………」
「………」
まなからの返事はない
もちろん返事を期待していたわけではないが…
まなの額にちゅっとキスをしてそっとまなから体を離した
まなに朝…もう昼やけど…飯を作ったろうと思った
そして飯を食ったらそれからまなと少し話そう
「……Zzz…」
部屋を出て行く前もう一度まなが眠るベットに視線を向けた、まなは一人きりになった広いベットの上で毛布にくるまって眠っていた
目の端からは涙が伝った後が見えていた
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