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涙とキス
銀はしばらく俺を膝に乗せ俺の体を撫でたりキスしたりしていた
俺もそれに対してどうこう言うコトもなくじっとしていた
銀がすりっと俺の胸に頭を擦り付けて口を開く
「あと2時間なんやって思うたら…」
「………」
「まなにキスしたくてたまらんくなった…」
ぽすっと銀が俺の胸に弱く頭突きする
「あー…まな欠乏症……」
「………まだ欠乏してないだろ…」
「ムリ、考えただけで欠乏症になる…マヂムリ、リスカしょ…」
「……言いたくなかったけど…最近お前金さんに似て来てるぞ…」
「………マジ無理…リスカする…」
「…縁起でもない……」
そう言うと銀はははっと笑った、つられて思わず俺も笑ってしまう
こんな普通のやり取りも…普通にできなくなるんだな…
そう思うとなんだかつきんっと胸が痛んだ
銀が顔を上げる
「まな…もう一回キスしてもええ?」
「……聞くなよ…」
「ふふー、ありがと…」
「……ん…」
銀に下から掬い上げるようにキスされて胸の奥がキュッとなる
キスされるごとになんだか切ない気分になった
銀が寂しいなんて…らしくない事言うから…
銀が何度も何度も優しくキスしてくる
『………あんな、まな…さみしいねん…』
『…まなと離れたくない…』
銀が言った言葉が思い出された
らしくないんだよ…ばか…
そう思った途端目頭が熱くなって視界が滲んだ
ダメだ…もう泣かないって…決めたんだ…
ぐいっと銀を押して体を離して銀の首にしがみ付いて銀から顔を見えなくする
必死に唇を噛んでにじむ涙を止めた
銀は黙って俺の背中を撫でてくれていた
「まな…泣いとるん?」
「泣いてない…」
「えー…泣いてくれないん?」
「……泣かない…ばかぁ…」
ぼすっと銀の胸を軽くたたくと銀がからからと笑った
銀の匂いが涙を誘う
「……なぁ…ぎん…」
「ん?なぁに?泣くん?」
「うるさい…聞けよ…」
「ははっ、ごめん……どしたん?」
「………」
「……まな?」
「……もう一回、だけ…その……き、キス…したい…」
「……ふふっ…ええよ……」
そう言って銀は深くキスしてくれた
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