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伝えずにはいられない
こうしてオレらは残りの時間を過ごした
何度かキスして、ぽつぽつと話して、まなはまた泣きそうになって……
そうこうしているうちに猛から電話がかかってきた
オレの肩に顔を押し付けてじっとしとるまなを膝に乗せたまま電話に出る
『先輩!!やっとつながった!!…ちょっと電話ぐらいちゃんと出てくださいよ…』
「いや~、まなとイチャついとったら電話とるの遅くなった………いて…」
そう言うとまながオレを軽く小突いた
『聞いてないんで言わなくていいです……で、今どこいるんです?もうゲートの前まで来てるんですけど』
「え~ほんま?じゃあそろそろ行くわ~」
猛はまだ何か言いたげだったが無視して電話を切った
まながぎゅうっとより一層オレにしがみ付く
「……まな、もう時間やって…行かな…」
「……うん…」
まなは最後にぎゅっとオレの体を寄せてからゆっくりと離れた
「行こう、か…」
「………」
そう言ってまなは儚く笑ってトイレの個室から出ようとした
でもそんなまなの表情がたまらなくて後ろからまなを抱きとめて再度個室の中に引っ張り込む
まなは少しおどろいた顔していた
「銀…行かないと皆待って…」
「まな…聞いて?」
「……?」
まなの耳元に唇を寄せた
「あのな…何度も言うけどな…まなが一番大事なんやで…」
「………」
「心配しないで言うても心配やし心細いかもしれへんけど…でもな、まなが好きなんよ…」
「………」
「やからいっぱい頼って…気なんて使わんくてええから…」
「………」
「…な?」
「……うん…」
こう言ったところでまながオレに気を使うのはわかっとった…
でもそう伝えずにはいられんかった…
なんだか名残惜しいような気がしたけれどそっとまなを引き留めていた腕を解く
でもまなはするっとオレの手に自分の手を絡め握ってきた
「……行こ…?」
少し照れたように視線を背けながらまながそう言った
まなの手はぎこちなくもきゅっとオレの手を握っている
まさかまなから繋いでもらえると思ってなかったので思わず目を瞬かせてしまった
なんだか嬉しい気分になる
「……ん…行こか…」
そのまままなと手を繋いでゲートまで向かった
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