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心からの愛をあなたに
まながオレの腕の中でゆっくり口を開く
「……寂しい…」
「………」
「銀…が、いなくなって…一人になるの、心細いし寂しい…」
「……うん…」
「ほん、と…は、行って欲しくないの…」
「うん…」
「……それ、だけ…」
「………」
そう言うとまなは黙ってしまった
まなの気持ち…
まなが今までオレの重しになると思ってた気持ちや…
ぎゅうっとまなを抱きしめる
まなは今まで『寂しい』って言うことは『行かないで』と同義やとおもっとったんやろう…
やから寂しくても心細くてもじっと黙って、自分ですら気づいてないふりをして、あの日以来決してそれを俺に言おうとはしなかったんや…
でもきっとさっき若葉ちゃんになんか言われてかな?それが全く違う言葉やって気づいたんやな
やっと素直にまながまなの口から伝えてくれた『寂しい』が嬉しかった
オレがまなは『寂しい』って思っとるって知ってても、まな自身が気づいていなきゃ意味ないんや…
そんな事を考えながらまなを抱きしめ背中を摩っているとまながオレの胸を押した
離れるんかな?と思って少し腕を緩めてやるとまなはこっちを見上げて笑った
「ッ!!」
ハッとした
以前見たことのある、まならしくない完璧な笑顔やった
「元気でね銀、いってらっしゃい」
「ッ!!」
突然まなへの愛しさが湧きだして止まらくなって泣きたくなった
苦しくなって、まなは笑っているのにオレは泣きそうやった
止れなかった…
「まなっ!!」
「えっ?わっ!!」
離れていたまなの体を抱き寄せまなの頬に手を添える
念のため言っておくけどさすがにオレやって公衆の面前でどっからどう見てもホモセクシュアルのカップルやってわかるような状態でまなにキスしたりせん
でも今回だけはそんな理性が働く前に衝動的に体が動いてしまった
まなに少しでも自分の痕を残しておかないと気が済まなかった
ここが空港やとか、ちづちゃんたちが見てるとかそんな事全部頭からすっぽ抜けていた…
「ッ!!ッ~~~!!!」
「!!」
「う、ッあ…ぁ…」
「ちょっ、え…先輩?」
「ヒュ~!!」
「ひゅ~ひゅ~!!」
ちづちゃんが真っ赤な顔で悲鳴に似たような声をあげるところや、怪力女が無言で驚くところや、藻府が顔を手で覆いつつも指の隙間からこっちを覗くところ、猛が驚いた顔で周りを見る様子、健斗と若葉ちゃんが下手くそな口笛で冷やかす様子が見えて、最後に心底驚いた顔でこっちを見るまなの顔が見えた
全てがゆっくりに見えた
まなに怒られるかな…猛には怒られるやろうなぁ…ちづちゃんには悪い事をしてしまった、トラウマになったら申し訳ないな……
そんな事を考えていた
まなに押し返されてもそのまま唇を重ねる気でいた
でもまなは予想外の行動をとった
一瞬驚いた表情を見せたもののそのまますっと目を閉じて顔を寄せてきた
ッ!!
逆にオレが驚いてしまった
まな…ここ空港なんやで…
知らん人も知ってる人も大勢おるんやで…
でもまなは目を開けなかった、オレを押しのけようとも、頭突きをしようともしなかった…
あの恥ずかしがり屋で、学校でオレらの関係がばれた時もあんなに青い顔をしていたまなが、こんなに人のおるところでオレに自分からキスしようとしたんや
「ッ…」
「ッぅ…ん…」
まなの唇にオレの唇が触れる
柔らかくて暖かいもう何度も合わせたことのある唇やった
まながキュッとオレの服の胸の辺りを握る
周りがざわつく音や視線を感じたけれど唇は離さなかった
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