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健斗の餌係とR‐175

「……………なんでお前がいんだよ……」 「…?」 「お前だよ!!」 キョロキョロする銀に向かって言う 昼休み、何故か銀は俺と健斗と飯を食っている 「はい、あ~ん」 「あ~ん」 しかも健斗はとっくに自分の昼飯を食べ終わって銀にメロンパンを貰ってる なに餌付けられてんだこいつ… 恨めしそうに餌付け風景をにらみつける 「……?…!、あーまなも欲しかった?はい、あ~…」 「いらねえよ!!まなって呼ぶな!!」 「あ~ん」 「お前も食うなよ!!それ銀の昼飯だろ!!」 「痛いっ!!」 健斗の顎を押して閉めさせる、舌を噛んだらしい 涙目になって唸っている 「健斗くん今日の量少なかった?次から増やそうか?」 「ほんと!?」 「次、ハンバーグと唐揚げどっちがいい?」 「…うーん?…どっちも、じゃ、だめ…?」 でた、無意識上目使い…そんなんだから可愛いって言われるんだろ… 健斗は年上やしっかりした女の子…というか女性にモテる 母性本能が刺激されるとかそういうあれだろう 本人はかわいいって言われたり子供扱いされるのを嫌うけど… ちなみに今の女の子は別に健斗の彼女とかそういうわけではない 「健斗くんのお弁当当番」だ、俺は陰で「健斗の餌係」って呼んでるけど… 健斗の家は「昼飯代もお小遣いのうち」という家で高校に入って給食が無くなってからはお小遣い節約のため健斗は自炊していた ただこいつは根っからの不器用だったので自分で作った料理がホントにおいしくなかったらしい 見てるこっちが悲しくなるレベルでおにぎりですらすさまじいぼろぼろ具合だった そこで毎回目に涙をためて自分の作った昼飯を食べる健斗にきゅーんときた女性諸君が自分がお弁当を作ってあげると立候補したのだ それが今や1年生から3年生まで増えに増えて2か月で一周ローテーションする人数にまでなった 餌係の人たちが勝手にシフトを組んで勝手に持ってきてくれるんだからすごいよな~と思う もちろん自分から立候補するってことは料理に自信があるからであって、たまーにちょっと健斗が分けてくれるんだけどめちゃめちゃうまかった 「銀くんの分もお弁当、作ってきてあげようか?」 女の子が健斗から空のお弁当箱を受け取って銀のパンを見ながら聞く くっそ…この子も銀か… 「ん~…オレもともと小食やしええわ、ありがとな~」 女の子が「そうなんだーいいよいいよ気にしないで」と言って手を振る お…普通の子ならここで銀の笑顔にやられて顔を赤くしてるところだが、さらっと笑顔を返して手を振る辺り好感が持てるぞ そういえばこの子前俺にも聞いてくれたな… きっと健斗の友達である俺らが困ってるならと思ってくれてるんだろう…いい子だ!! 結局さっきから銀はパンを2口ぐらいしか食ってない、小食って言うのは本当らしい そんなんだから細いまんまなんだ… いらいらしながら自分のパンを口に運ぶ 「ねぇねぇ、杉田君『まな』って呼ばれてるの?かわい~」 「ね~私もそう呼ぼうかな~」 近くの女子に声をかけられる 銀以外にも「まな」なんて女みたいな名前で呼ばれるなんてたまったもんじゃない 「ダメ~まなはオレが考えたあだなやからオレ以外が使うのはダーメ」 「え~そうなの~仕方ないな~」 「仲良いんだね~羨まし~」 キャイキャイはしゃいで女子が言う くっそ、銀にまんまと騙されやがって… とりあえずクラスのやつらからまなと呼ばれるのだけは脱したようだった 「なぁ頬付!!バスケ部入らね?お前背高いし運動もできそうだからきっとすぐレギュラー取れるって」 「バレーは?とりあえず昼休みやりに来ね?」 「ん~考えとくわぁ」 「お~待ってるぞ~」 別の男子も声をかけてくる 銀は転校2日目にして男子からも女子からも絶大な人気を得ている さっきの移動教室でなんてすでに他クラスのやつからも声をかけられてた 人気者の二人に囲まれて俺はちょっと肩身が狭いです… 「あ、まな今日うちに来や」 「え~いいな~おれも行きたい」 「健斗はダメ~まだ引っ越しの荷物片付いとらんからな」 「なんで学はいいの?ずるい!!」 「まなはもう不可抗力で家に来たことあるからな~今日はまなに荷物の片付けの手伝いしてもらうねん」 「え~…じゃあ今度また呼んでよ、絶対だよ!!」 「はいはい」 俺のいないところでどんどん話が進んでいく 銀の家なんてきっとロクな事がない 「おい…俺行くなんて言ってないぞ…」 「用事あるん?」 「……いや…ないけど」 「じゃあええやん?来や?」 「……………やだ…」 「……写真…」 「……行きます…」 これは絶対脅迫だ… 「写真ってなに?」 健斗が聞く …っう…… なんて言ったらいいんだ… 「まなの写真やで」 「え~いつの?見せて見せて!!」 「大人になったらな」 「おれ銀と同い年だよ見せてよ、ずるいよ」 「残念やな~日本の法律じゃ男は身長175cm未満は子供なんやで?」 「!?…そうなの!?」 「せや」 「知らなかった……… じゃ、じゃあさ、おれが175cmになったら見せてよ!!」 いや…ムリだろ… いや見せられても困るけどさ… って言うかテキトーな事言うなよこいつ信じるぞ 銀の発言に健斗は「きっと来年ぐらいにはなってるはずだ」と言い張る …お前中3の時から身長1㎜も伸びてないの知ってんだぞ、無茶言うなよ …はぁ…すでに疲れた…しかも俺は今日銀の家に行かなくてはならないらしい… まだ月曜なんだけど俺今日家に帰れんのかな…

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