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傷んだ体
「……………風呂…入らないと…」
足に力を入れるけど立てない…
「ははっ……ダメだ…」
何故かおかしくて笑ってしまった
座り込んだままゆるゆると服を脱ぐ
銀に見つかってからはあっという間だった
抱きかかえられて家に連れていかれ水を飲ませられ顔を拭かれた
で今風呂の脱衣所で俺は座り込んでる
もう銀が出て行ってから10分ぐらいたつ
銀は出て行くときに前みたいに俺の頭を撫でて出て行った
なんだかホッとして落ち着いた
ズルズルと重い体を引きずって風呂場に入る
鏡を見たら全身ひどいありさまだった
体中痣と擦り傷だらけで胸にはぱっくりと大きい切り傷がついて血が固まり赤黒くなっている、首元にも鬱血の痕や噛まれた痕が大量について手首足首にも縛られていたところが傷になっている。左の乳首は焼け爛れ皮膚が溶け真っ赤だった。
尻もまだズキズキと痛むから多分結構切れてるんだと思う…重心をずらさないと座るのもつらい…
股間のものも萎んでいるが赤くなって先端の穴や中も痛いし、足の甲も引きずって歩いたせいで擦り切れ汚れ、足の裏も切れてた
「………はぁ…」
蛇口を捻ってシャワーからお湯を出して頭からかぶる
「うぁあ……っつあ~~~~~~~…」
体中にしみて特に焼けた乳首には耐えがたいような痛さだった
のたうつように体を捻る
じわじわと痛みが引いて行く
「っはぁ…はぁ…」
痛かった…
その後も痛みと戦いながらゆるゆると体を洗って湯船に入った
「………はぁ…」
気持ちいい…
始めは浸かるときも体中痛んだけど今は浮力で体がふわふわしてるぶん楽だった
肩まで体を沈めて天井をボーっと眺める
また涙が出て来た
目の端をつたい落ちて行く
あとからあとから止まらない天井を眺めたまま俺は声を出さずに泣き続けた
40分近くも風呂に浸かり続けてようやく上がった
風呂に入るときも大変だったが出るのも大変だった浴槽から転がり落ちるように出て脱衣所に這い出す
自分でも何とも不恰好だと思った
「学?上がった?」
ドアの向こうから銀の声がする
待っててくれたんだろうか
「………うん」
「体は?平気?」
「………だい、じょうぶ…」
「嘘やな」
かすかすの声で答える
当たりを見回すとバスタオルはあったが着替えがなかった
「怪我見たるからそのまま出てきや」
「………いやだ…」
いやだ…銀にこんな体見られたくない
肩にかけたバスタオルを握って体を隠すように胸の前でかき抱く
声もバスタオルを握る手も震えていた
「怪我しとるんやろ?手当せんと」
「……いやだ、いやだいやだ」
細かく首を振って拒否する
「……入るで?」
「だめ!!」
待ちかねた銀が開きかけたドアに手を伸ばしてそのまま体当たりするように閉める
体中痛んだけれど絶対見られたくなかった
「学…」
「いやだ、来るな!!」
「…学、開けて…」
見たらきっと銀は引く
「………学」
「…………っぅう…い、やだ…あっち行けよ…」
涙が出て震えが止まらない
なんでこんなになっているかもわからなかった
ただ怖かった
「……………………まな…?」
ピタッと震えも涙も止まった
ハッとしてドアの向こうに目をやる
「………まな、お願い…」
ふっと体の力が抜けてドアがゆっくりと開いた
銀が俺の正面に立ってる
「ええ子、ありがと…」
銀は俺をいたわるように抱きしめて頭にキスをして撫でてくれた
……あったかい…
「…っう…うぇっ…っうえぇぇん…」
また涙が溢れてきて止まりそうになかった
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