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傷んだ心
「どこ?」
頭を撫でられながら聞かれると拒否できなくなる
…ずるい
「………しり、と…尿道…」
「……尿道はしゃあないから尻やな…尿道しばらくしても痛いならちゃんと病院行くんやで?」
そういって銀はいつかの時みたいに俺の膝を立たせて自分の方に尻を突き出させる形にした
顔が熱くなる
「っやだ…やだ、銀!!」
「切れとる…これ座るのきついやろ」
「…………見ん、な…」
そんな場所をまじまじと観察されて恥ずかしくないわけがない
「薬塗るだけやから、じっとしてて」
そう言って銀はふちをなぞるように薬を塗りだした
それに感じてる自分が浅ましく感じられて嫌で仕方なかった
自分でも後ろの穴がひくついてるのがわかる
それを銀に見られてるのが耐えられなかった
「…っふ、はぁ…ん…」
自分では後ろがどうなっているのかわからないが銀の指が優しかったからかいたくはなかった
「おしまい、もうないな?」
「はぁぁ…な、い…」
「よし、じゃあ今日はもう寝や、学校なんてサボったらええわ、ゆっくり休み」
俺に服を着せて、救急箱の中に薬なんかをしまって銀が出て行こうとする
時計はもう4時を過ぎていた
「……銀…」
「……ん?」
「一緒にいて」と言いたかった
でも言えなかった、こんな時すら素直じゃない自分が嫌で涙がでそうだった
「……………」
「…………ええよ、しばらく一緒にいたるわ」
「……!?」
銀がベットの脇に座る
まさに自分の思っていたことを当てられて焦ってしまう
「…………別に…頼んでない…」
また思ってもいないことを行ってしまう自分に腹が立った
「ん、オレがいたいだけ」
銀は優しかった
その優しさに申し訳なくなった
「………銀、あの、さ…」
「ん~?」
なんで話そうと思ったかわからない
銀がやさしくしてくれることに罪悪感を感じたのかもしれないし、なんだかんだ言って誰かに聞いてほしかったのかもしれない
とにかく俺は今日あったことを全部話してしまった
銀に呼ばれてると言って呼び出されたこと、抵抗したらナイフで脅されたこと、あいつらに俺が銀にキスしたところを見られていたこと、拘束されて初めてだったのに無理やり慣らしもせずに入れられたこと、さらに尿道から薬を入れられたこと、気を失ったときにたばこを押し付けられたこと、中に出されたこと、それらで感じてしまったこと、ビデオを撮られて誰かに言ったらそれをばらまくと言われたこと、あいつらに「まな」と呼ばれるのが死ぬほど嫌だったこと…
洗いざらいに全部話してしまった
思い出して、怖くて、悲しくて、声も震えて、話の順序もめちゃくちゃでどうしようもなかったけど全部話した
そのあいだ銀はずっと黙って聞いててくれた
俺が鼻をすする音だけ部屋に響いている
銀の顔は見えない
「………まな?」
「……ぐす…なん、だよ…」
「そっち、いってもええ?」
「……………うん…」
そう言って銀は俺のいるベットに入ってきた
銀の腕が背中に回って抱きしめられる
すぐ目の前に銀の首があって銀の匂いがする
「嫌だった?」
「……………うん…」
「痛かった?」
「…………うん…」
「……辛かったなぁ」
「……う、ん…」
一つ応えるごとに涙が溢れて止まらなくなってしまった
誰かに言えたからか泣くだけ泣いたからか少しすっきりした
頭がふわふわしてきた、眠い…
「それ、好きじゃん」いつか健斗に言われたことを思いだした
もう半分寝てるような感じだった
「…………ぎん…」
「ん?」
「…………すき…ぃ…」
「…………………………ん…」
あれ、今俺なんか言った…?
ボーっとしてもう思い出せない
くあっとあくびが出る
「……もう寝や」
「…ん………ぎ、ん……好き、大好き…」
「………………ん…」
頭を銀に撫でられる
そのまま幸せな気分で眠りについた
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