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健斗くんの話 苦労体質で素直じゃない手のかかるおれの幼馴染

さかのぼること1ヶ月とちょっと前 「…はぁ」 学が落ち込んでた ずっと机につっぷしたまま動かない 「……ほんとにどうしたの?」 「…………」 「学?」 「…あのさ…」 そしたらしばらくして昼休みに相談された 内容はざっと『体だけの関係でそれが嫌だったけどじゃいいや、ってなったらさみしい』って言うことだった 「好きじゃん、それ」 「好きじゃない!!」 自分から相談しといてアドバイスを受け付けないとは…素直じゃない奴め… 学は昔からそうだった、幼稚園の時に好きだったまりなちゃんにも小学校の時好きだったしおりちゃんにも好きな子はいじめるっていう素直になれない奴の典型的なタイプだった で、結局どっちにもフラれてた で、結構長いこと落ち込むって言うのが学の恋愛パターンだった 根はいい人だから片思いも長いし誠心誠意頑張って告白するけどアピールに問題がな~… ちなみにおれはそのときはまだチビじゃなかった、正確には今もチビじゃない成長途中なだけだ、保健の先生も言ってた「成長には個人差があります、体格の事で人を馬鹿にするのはやめましょう」って… おれは小学校の時はモテたんだぞ!!クラス中の女の子が「健斗くん足早~い、好き!!」って… ちなみにしおりちゃんにもそう言われて学がしばらく口をきいてくれなかった… まぁそれはいい とにかく学は素直じゃない だからおれが「それ好きじゃん」なんて言ってやっても絶対認めない もうわかりきってるからこれ以上は言わないけどさ… つか学君にそんな相手がいたなんて… 学は中学に入ってグッと身長が伸びた(おれは伸びなかった)、もともと顔もかっこいいし中学ではサッカー部でフォワードをやってたから筋肉もついてた、真面目だから成績もよかった だから硬派…というか単純に女子と話したり人前で話すのが苦手だったからかってにクールだというイメージがついてそれなりモテてた、告白もされてた 毎回断るたんびに心労が溜まってってたけど… 学は真面目だから好きじゃない相手と付き合ったり、体だけの関係になったりはしない そう思ってた 誰だろ…学がそんなことになるような相手… 学はカーッと赤くなったまま銀の席を見てる… 「なぁそれってもしかしてさ銀?」 「………ッ!?!?………いや、ち、がう……」 ……銀だ…耳が動いてる… ………銀か… 確かに学が落ち込み始めたのも銀の家に行った日からだし… 学がそういう人だとは思わなかったから少しは驚いたけどべつに偏見とかはないから特に言うことはない 銀はきっと学が素直じゃない奴なのをわかってるんだろうし… とりあえずおれはそれ以来学と銀と昼飯を食うのをやめた おれが一緒だときっと学は銀としゃべろうとしなくなるだろうし…おれ邪魔者だし? だからお弁当は教室で貰っててきとーに食べてた できるだけ人のいないところを探して校舎中歩き回った、学たちには適当な理由を伝えてるからあまり人に見つかりたくなかった そんな時に校舎の裏に行った 日陰で涼しくて人もいないし芝生だし面してる窓も全部空き教室のもので居心地がよかった 「はー、きもちいー」 芝生に座ってグッと伸びをして弁当を開いた 良い場所を見つけてるんるんだった だから後ろから誰かが近づいてるなんて思わなかった 突然背中にドンッと衝撃があってそのまま誰かが「うわっ!!」って声と一緒におれとおれの弁当の上に倒れ込んできた ぐしゃっっと嫌な音がする 目の前に倒れてきたのはデカい金髪ピアスのチャラそうな男だった1年のネクタイをしていた

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