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健斗くんの話 ピーマン

「ふんふんふ~ん♪」 おれはるんるんだった スキップで廊下を進んで3年生の教室に行く 明日から猛が弁当を作ってくれるって!! 猛の弁当はホントにおいしかった そのまま3-1の教室のドアの前に立つ 「しずちゃん先輩いますかー?」 「健斗くん!!」 しずちゃん先輩もとい雫先輩はおれの弁当を作ってくれた人第一号だ その後もお弁当係の事をいろいろやってくれている学級委員もやってて成績優秀の美人さん、唐揚げがおいしい 「あのね、明日からしばらくはお弁当いらなくなったからその報告にきたの」 「…え!?」 しずちゃん先輩の顔が険しくなる 「健斗くんもしかして…彼女さんとか…」 「え?」 「健斗くん彼女できたの!?だれ!?」 しずちゃん先輩がおれの肩を掴んで揺さぶる 「ちっ、違うよ!!と、もだちが作ってくれるって…」 「あら、そうなの…」 しずちゃん先輩がおれの肩を離す まだ頭がフラフラした 「…ちょっと残念だけどわかったわ、また必要になったら言ってちょうだいね?」 「…う、うん」 しずちゃん先輩が頭を撫でながら言う ビックリした…けど、これで安心 そのまま教室までスキップで帰った 「やだよ!!おれ嫌いだもん!!」 「先輩高2にもなって好き嫌いしないでください!!」 次の日約束通り猛は弁当を作ってきてくれた、ハンバーグとグラタンが入ってて大満足だった だからあっという間に全部食べた、もうめちゃめちゃおいしかった、それ以外は… 「いやだ!!ピーマン嫌い!!おいしくない!!」 「だからって残さないでください!!」 弁当の中にピーマンが入ってた オレはピーマンが死ぬほど嫌いだ にんじんとセロリと並んで大っ嫌いだ お母さんにも学にも何度も言われてきたがこればっかりは本当に嫌だった 「そんな子供みたいなこと言わないでください!!」 「…っう…子供…」 「食わず嫌いばっかしてると身長伸びませんよ!!」 「…っう…」 身長の事を言われると弱い… そろそろとピーマンの切れ端を箸でつまむ 「……やっぱ…ムリ」 「………」 「……残しちゃ、ダメ?」 「………」 おそるおそる猛に聞く だって今までのお弁当みんな好きな物しか入ってなかったんだもの!! 「ダメです」 「え~やだやだやだ~」 「…じゃあこうしましょう」 「………?」 「今日半分だけでいいんで食べられたら明日弁当に唐揚げを入れます」 「!?」 唐揚げ……食べたい… 唐揚げにつられておれは覚悟を決めて全部ゆっくり食べた、というか飲んだ ……苦い…まずい… 「…食べた…」 「よくできました、でも先輩口についてますよ」 そう言って猛は笑いながらおれの頬に手を当てて食べかすを取って行った ……猛が笑ってるの初めて見た… 「あ、すんません!!オレ兄弟に良くこうやってたんで…その…」 猛が顔を真っ赤にしてうつむく 別におれは気にしないんだけど…学にもやられるし… 「別にいいよ?よく学にもやられるし?」 「学…さん…にッスか?」 「うん」 「そ…ッスか…」 猛がビックリしたような顔をしてその後またうつむいてしまった 猛はすごい大家族の長男らしい 兄弟のいなかったおれとしては羨ましい…妹がほしかった…ちっちゃくてかわいくておれにいっつもついて回ってたよってくれるような… …それはいいや、で家事はいつも猛がやったりするらしい 猛はすごいケンカも強い有名な不良らしかったけどそれも元は中学の時に兄弟が絡まれてるのを見つけてそれで仕方なくケンカしたら勝っちゃって でその時倒した不良がそのへんで幅を利かせていた不良だったからその後も猛にケンカを売ってくる不良が絶えなくてそういう人たちを返り討ちにしてたらそうなっちゃったらしい…………かっこいい… 「ね?ね?これで明日、唐揚げだよね!!」 「…あ、ああ、はい」 「やった!!」 頑張って良かった!! 毎日猛とお昼を食べるのはすごい楽しかった 昼休みが毎日ホントに楽しみだった

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